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18歳以上ですか?
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「今日も今日とて同じ講演会お疲れ様でーす副隊長殿」
先ほど講演会をしていた我が隊の副隊長を労う。
「どこかのクソビビリが動けると色々バリエーションが増えるんですよね。クソ隊長」
と至極真面目にちょー真面目に返してくるのが光の門番5番隊の副隊長の周 綾斗 (あまね あやと)である。こいつは100人中100人が顔採用だろと言わせるイケメンで、透き通った緑がかった青いご自慢の長い髪を後ろで1つにしている。
目も髪の色に合わせたかのように綺麗な濃い青色。
「身長も高い…」
「は?そりゃ隊長は16歳ですからね小さいですよね」
「少しはフォローしてくれたってよくない?」
そう完全無欠な副隊長を持った可哀想な隊長なんです僕。
完全に隊長の威厳なんてないので周は呑気に
「隊長ー、この聖木に水あげますね。」
とか言ってホースを持ち出した。
ここは5番隊の執務室。
定員20人程のエリートの執務室らしく馬鹿でかい執務室に僕たち2人。
そりゃ気も抜けるってもんよ。僕ら以外滅多に誰も入らないんだから。
僕と周の関係も子どもと保護者みたいになっちゃうよ。
まぁ僕の私物ーーー主に聖木や神域でしか咲かない花とパンジーやチューリップなどの一般植物ーーーでいっぱいで実質定員5名だから周に頭が上がらないだけだけどさ。
神域ってなにだって?
前提として、この世界は人が住むーーーこれには名前がないんだ人間中心に考えている世界構想だからしょうがないねーーーまぁその域と、聖獣が住む聖域と、それらに取り残された神とその従者が住む神域とほとんどの生物を苦しめる魔獣の住む地獄の4つの世界があるんだ。
神域はその1つ、神域と地獄は文献がほとんどないことから分かるように人がまだ踏み入れていない地域のことなんだ。
神域から従者の1人と他にも関係者がこの世界に来たことがあったり進行形で来ているのに人々はまだ神域のしの字も分かってないんだ。
そいつもっと頑張れよって話だよな。
「その従者様がコミュ障じゃなければ解決するんですけどねその話」
この様に神の従者ということで人々は神域の従者のことを様をつけて会ったこともないのに敬っているんだ。
そうなんです。僕、この世界だとレアなんです。
周に限っては過去の話だが…
「それに関しても黙秘!」
「はいはい。仕事しましょ〜ね従者様〜」
ドフッ
周が膨大な紙の束が僕たちのデスクに置いた。
「今日の業務は1番隊から出版予定の聖獣初心者IIの6章まで校閲です。この本はシリーズ化を狙ってますからね、ミス1つない専門書にしますよ!」
「そして学校指定教材行き!売り上げいっぱい予算補填!やるぞ周!」
…因みに光の番人は魔法使い専門の警ら隊である。キャリア中のキャリアでいろんな人からの憧れの存在で雲の上の存在のはずなのだ。
「既に5月の段階で追加予算確定ですからね!」
「死んじゃえ2番隊!あいつにノエル地区を任せる統率部も死んじゃえ!」
共通の敵がいるからかな、僕たち周と僕は仲良しなんだ。
そして他の隊みたいに集団戦が不得意な僕たちだからこうして光の番人の内職と予算決定とか諸々の事務をしてぐーたら税金生活をしているのさ。
でもこの世界は甘くないんだよねそんなに
だって世界はものぐさな「神」が指揮しているんだもん
僕はこの世界のことをみんなより知っているから
それが事実だから辛辣すぎる
それはお昼休みで周が光の番人のビルの向かいのコンビニで買ったカツ丼を食べていた時のことだ。
人避けのためにドアまでツタとつる植物で埋めたのに、統率部の若い団員が来て僕に統率部の執務室に来るように言付けて来た。
光の番人の建物は王都の政治の中枢にある1つのビルで、5番隊の執務室は6階に、統率部は最上階にある。
コミュ障の僕は他の隊員に合わないようにするために階段を使っているが最上階となるとそうはいかない。久しぶりの自分の職場のエレベーターを使うだけでも緊張からか膝の震えが止まらなかった。
だって他の団の隊員からの好奇の視線や挨拶されるのって本当に怖いんだ。
最上階は執務室だけという人気のなさいがい何にもいいことがない。
そして高そうなドア。
「装飾細かすぎだろ、暇人かよ。まじ転売して予算に…」
「いやこれが芸術ってやつなのか?いやいや公務員に芸術いるか?」
止まらない独り言と同時に止まらない全身の震え。
総統に呼ばれてよかったことが一度もなかったからこれから僕に降りかかる不幸に悲しみの震えが止まらないのだ。失禁してもしょうがないだろう。
しょうがない、やるときはやらなきゃ男じゃないからないつものドア開けた瞬間にスライディング土下座しよう。
「僕に人権をください!総統!」
僕の渾身の力振り絞った緊張してガッタガタの声が総統部の執務室に響く。
と同時にちょっと床とキス。
そして統率部の哀れみの視線。
総統の名前は草加(くさか)さん。 爽やかイケメンと称される微笑む姿からは想像できない脳内にゴリラを飼っている究極の自己中野郎だ…
今も統率部の隊員に写真を撮ったか確かめながら俺に向かって微笑んでいる。団員は見たことのない5番隊団員を写真に収められて楽しそうだ。あとで魔法でその写真データ消さなきゃな。
「うっせ」
うっせキターー
全てを否定するデスワードキターー
僕、ここの床の味が分かるよ…あれなんでかなさっきまでふかふかの毛の味がしたのにしょっぱくなって来た。
「と言われてもムリ!ムリでございます!」
何がムリかは分からないが、絶対ろくなことではないのだ。
「5番隊隊長青空 仁(あおぞら じん)は国立魔法学院への潜入捜査を命じる、以上だ。青空、帰ってビービービービー泣くんだな」
フッと微笑む姿は一生忘れられない思い出になった。
綺麗だ…
★
「周ーーー!」
5番隊の執務室のドアを開けて周の堅ーい胸板に飛び込む。
「わっ、どうしてそんな鼻水垂らしてるんですか! はい、はなかみますよ。……統率部で何が?」
………
「確かに隊長は本来は学生の歳ですもんね。可哀想に…お労しいっす。はい。」
「最後のはいってなに!?はいって軽くない?僕はまともに話せるのは周と草加さんだけなんだよ!」
他の人に声をかけられると凍りついてしまうのだ。
「3日の準備期間があるだけマシじゃないですか。総統なら明日から編入とか普通にさせると思いますよ。」
「それはただ明々後日に光の番人の団員募集のパンフレットの校閲があるだけで…」
「ギリギリまでこき使うそれでこそ総統ですね」
キャリアって民間のブラック企業よりブラックって言われることあるけどこりゃ漆黒だな。
5番隊はそのパンフレットに載せたことはないし、そもそもリルクートを募集していないから別にきっかり8時間労働を自慢したことはないが数少ない利点が消えた。
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