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「おはよう、隼人君」
「おはようございます、要先生」
朝。俺の一日は診察から始まる。
「顔色は良さそうだな。体調の方はどうだ?」
「特に変わりありませんよ、いつも通りです」
「結構。何かあったらすぐに言うんだぞ」
「はーい。それじゃあ行って来ます」
「あぁ、行ってらっしゃい」
寮のすぐ近くにある研究室は時間を問わず研究者達が出入りしていて、毎朝誰かしらと廊下ですれ違う。
白衣だらけの中に制服だとかなり目立つらしく、すぐ俺に気付き軽く会釈をしてくるから俺も無言でそれを返した。
「なぁ、今のって…」
「ああ。アイツだ」
「あれが…!?見た目は全然普通だな…」
そんな感じの会話が背後から聞こえてくるのにももう慣れた。
「ハァ…、早く学校行こ」
ここにいると気分が悪い。要先生だけは他の人と同じように接してくれるけど、それ以外は完全に研究対象としての接し方だ。
……まぁ、その通りだから何にも言えないけど。
「あ、三浦君おはよ~」
「おはよう」
病院の研究室から学校までは歩いて10分もかからない所にある。
そこに向かっている間、何人かの同級生が声をかけては俺を追い越していく。
それを見てやっと自分が【普通】だと錯覚できるんだ。
「な~に暗い顔してんだよっ!」
「いっ───て~」
後ろから突然頭を叩かれて振り返ると、朝からウザい程笑顔の陽太がいる。
研究員が見たら大騒動するだろうな。
「別にー。ってか毎朝毎朝人の頭を叩くな!俺を何だと思ってんだよ…」
「何って…三浦隼人(みうらはやと)だと思ってるけど?」
「……あっそ」
中学からずっと同じクラスの山瀬陽太(やませひなた)は俺の親友とも呼べる。
普段はお調子者でどうにも手が着けられないが、いざという時は率先して何かを行うような頼れるリーダータイプだ。
現に俺も何度か助けてもらった事がある。
「お前病院は?」
「…行ったよ。ってかそれを分かってて毎朝体罰を繰り返すってどうかと思うぞ」
「体罰なんて心外だなー、これは俺なりの愛情表現だって!」
「……そんな歪んだ愛情いらねえんだけど」
俺達が他愛もないやり取りを繰り返している内に学校に着く。
世間的に俺は虚弱体質って事になってるから毎朝病院へ行ってるのは陽太以外にも結構知ってる奴はいる。
だから大体は腫れ物を触るみたい俺に接してくるけど、こいつだけは違った。
でも逆にそれが有り難く思える。
「なぁ知ってた?今日古文の村山が休みだから自習なんだとよ!」
「え、マジ?俺寝よ」
「俺もー。昨日ゲームし過ぎて寝たの3時だぜ!?」
「いや知らねえし…。ってかそれは自分が悪いんだろ」
俺には別の呼び名がある。それは研究者達が決めたもので名前はイヴ────。
男の身体を持ちながら同時に女の生殖機能を持って産まれた両生類型の人間。
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