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何でこんなことで授業サボったんだろう。
教室に戻ったら夏輝がいる。あんな笑顔、俺じゃ無理。叶ちゃんがいないと見れない笑顔…。
蒸し暑い廊下を歩く。
扉を開けた瞬間、冷気が出てきて少し鳥肌が立った。
教室に入っても友達がいないため心配して声をかけてくれる人はいない。運よければ声をかけてくれるのは夏輝だけだ。
二限、三限と次々と終わっていき昼休みになった。
お弁当を持ち、俺はひとり教室を出る。
「おい、蒼。どこ行くんだよ。」
「俺今日はひとりで食べる。」
俺は後ろから聞こえる夏輝の声を無視してひとりでお弁当を食べる場所を探していた。
屋上は先輩達が使っていて、一年の俺が入れる雰囲気じゃなかった。食堂は席が空いていたがひとりじゃ辛い。結局いつも通りのC棟三階の階段。
お弁当を広げて、ただ黙々と食べ続けた。夏輝が来ないことを祈りながら。
六限目まで終わり、放課後。
俺は部活に行くため、蓮、颯汰、聖真の三人と一緒にコートに向かう。
フットサル部はまだ誰も来てない。四時三十分になり部活が開始した時にフットサル部のマネージャーが入ってきた。
それに続いてゾロゾロと部員がコート入りする。その中に、夏輝がいた。俺はなるべく見ないように、ボールに集中した。
部活の時間は三人と一緒にいるので楽しい。辛いことも忘れられる。
部活の時間も終わり、荷物をまとめ制服に着替える。
フットサル部は…まだ終わっていない。先に帰ってしまおう。
俺は夏輝を置いて電車に乗った。
夏輝を避け続けて一ヶ月経った頃、電車から降りて家に向かっている時電話がかかってきた。
夏輝からだった。
きっと怒っている。怯えながらそっと耳にスマホを当てる。
「もしも」
『お前、最近ひとりでいたがってるけど、俺といるのそんなに嫌なのか?』
「ち、違う。」
『じゃあ何で、俺のこと避けてるんだよ。ひとりで飯食いたいとか、ひとりで勝手に下校してるじゃないか。』
何でって、夏輝が好きだから。一緒にいるのが辛いから。
なんて、言えない。言えるわけがない。
「ごめんなさい。特に理由はないです…。ごめんなさい。」
そう言って俺は電話を切った。
この気持ちをどうにかしたくて、蓮に電話を掛けた。
『どうしたの?』
「急にごめんなさい…。俺…俺夏輝に嫌われたかも…。」
『何で?なんかあったの?』
蓮は最後まで俺の話を黙って聞いてくれた。
『蒼が後悔しない方を選びな。もうすぐで夏休みに入っちゃうよ。家が向かい合わせだからって、今ここで何とかしないとずっとこのまま、夏輝と話せないかもよ?いいの?』
「でも、なんて言えばいいか分からない。」
『それは自分で考えないと。』
「…うん。わかった。頑張る。」
まずは謝ろう。その後に、なんて言えばいんだろ…。
俺は考え続けた。
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