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久しぶり、じゃあ始めようか!ってマジで?
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絶賛遭難中の俺は非常に困っていた。
第二の忍びに置いてかれ、これ以上歩き回って
無駄に体力を消費するのもはばかられたし、
なんなら喉乾いたお腹すいたもーやだよー状態
「およよよ、なぁにしてのー」
右か左か前か後ろかからあんまり聞きたくない声が聞こえてきたような気がした。
でも気がしただけだから幻聴かもしれない
助けを求める俺の頭が聞かせた幻聴…
「ねぇ…えのもとくん?」
何かに強く肩を掴まれてこれは現実だと悟る。
部屋男だ…生徒会会計馬鹿力部屋男…
思えばこいつとの出会いは最悪だった。
こいつは急に寮の壁をドンして壊して俺を追いかけ回し…
「ちょっと嘘やめてくんない?忍者屋敷とか言ってオレを騙したくせにー」
後ろから肩をガッチリ掴まれて耳元で囁かれる。
ゾワゾワするよりも肩にギリギリと力を込められすぎてて悲鳴をあげてる
「痛い痛い痛い!馬鹿力!!離して!!」
「あの時はよくも逃げてくれたよねえ」
アッ!その節はすいませんでした謝るから許して!
「まあぁったく…あの後怜ちゃんに絞られたんだからね」
「怜ちゃ…何?誰」
「?知り合いでしょ?時和…副会長ぉ」
何!?あいつ部屋男に怜ちゃんって呼ばれてんの?!
ウケるマジウケル
怜ちゃんは流石に笑う
いやああの人も一応高校生なんだねうんうん。
同級生にちゃんとあだ名で呼んでくれる人がいてヨカッタヨカッタ
お母さんは安心したよそれにしても面白い
「そんな事より、あのときのお礼は、どうやってさせてもらおーかな…」
「どぅわ!!!?」
耳に息を吹きかけられ意図せず変な声が出る。
なに、なんなの、お礼ってなに
「オレのこと…殴ったでしょ、忘れちゃったの?」
し、食堂でのことでしたか!!
そちらも重ねてお詫びいたしますから離して!
「そんで、放置じゃん?オレさあそんな事されたの初めてで…」
怒ってんの!?
たたたたたしかに、俺も投げられ殴られ放置されたら
相手絶対許さないけども!!!
わからない、顔が見えないから何を考えてるのか読み取れない
顔が見えてもわからないだろうけど!
「初めてでね……すごいおもしろかったあ!」
「へ」
「だからあ、えのもとくんともっと遊びたいなあって」
「へ、あの」
「なあ遊ぼうぜ…?」
人格変わってない?
「へへへへ、部屋男さん…あのね目がこわ」
「あっ!なにそれいいのつけてんじゃん!」
部屋男は俺の話なんか聞いちゃいない
肩から手を離したかと思うとすぐ正面に回り込んで
俺の首から下がってるプラカードに反応する。
「えのもとさ、鬼ごっこってあるじゃん?」
「はあ」
「追いかける方は、鬼って言うじゃんね?」
言いながら部屋男はプラカードに文字を書き出す
「じゃあ、追いかけられる方はなんて呼んでる?」
「追いかけられる方…」
言われてみれば
鬼とそれ以外、名前なんてない
聞いたことない
こいつなにが言いたいんだ?
「オレはね、いっつも鬼なの。追われるより追う方が好きで、追う対象のことをいつも
餌って呼んでるんだあ」
地を這うような低い声でハッとした。
首から下げられているカードには
いつのまにか綺麗な字で
『餌』
と書かれていた。
「じゃあ10数えるね」
俺は言葉を最後まで聞かずに走り出した
走りながら考えた
なんでこんなシリアスな感じなの
あいつなんなの
部屋男怖すぎじゃない!?
「行くよー!」
「こっこっこここ、こっ、こないでえええええええええええええええええ」
すっかり遭難のことなんて忘れてしまっていた俺。
振り返って見た部屋男は、満開笑顔だった。
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