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数年に一度と言われるような激しいゲリラ豪雨に見舞われた。
つい先程まで太陽がジリジリと照りつけていたのがまるで嘘のようだ。
部活動を終えた帰り道。チームメイトと別れると、途端に雨脚を強めた。
仲間といるときは面白がって全身を濡らしていたが、さすがにこれ以上濡れると風邪をひいてしまいそうだ。
今更ではあるが、ユニフォームなどを無造作に詰め込んだエナメルバッグを頭上に持ち上げ、雨を凌ぐ。
避けるだけの道もなく、仕方なしにバシャバシャと水たまりを通った。その水しぶきの音の中に一際耳を引く大きな物音がして足を止めた。
「え、人……? 」
膝を抱え、身体を小さく縮めるその姿はどう見ても人間だった。
よほど長時間雨に晒されていたようだ。伸ばされた髪は白い肌にべっとりと張り付き、小さな体はガタガタと震えていた。
「君、風邪ひくよ? 帰りなよ」
話しかけようとその子に近づいてしゃがむと、怯えるように後ろへ下がっていく。
「あ、えっと、ごめんね。でも後ろに……」
言い終える前に、ガシャンと背後にあったフェンスにぶつかった。
有刺鉄線ではなかったものの、今のその子くらいの勢いでぶつかれば、そこそこの痛みはあるはずだ。
しかし、その子はうめき声一つ上げなかった。その白い肌に赤くフェンスの跡がついていた。
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