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「ルナ……かわいかった。僕、ルナいないの、寂しい……」
「そうだね。死ぬと遺された人は寂しいんだよ」
今はこくこくと頷く雪弥ではあるが、俺は忘れてはいなかった。
雪弥と初めて会った日のことを。
―ここで死ななければいけないのだ、と叫んだあの日のことを。
死を望んでいた雪弥は、ルナの死を目の当たりにして何を思うだろうか。
ぎゅうっと身を竦めて、小さな白い少年は震えていた。
「死ぬ……、怖いこと、」
伝う涙のわりに表情はあまり動かないのがどうにも不思議だった。
どうにも淡々としていて、涙を流すことさえ一連の作業であるかのように感じられた。
「泣いちゃ、た……、ごめ、なさい……ごめんなさ……っ、」
繰り返されるうわごとめいた言葉はあまりにも悲痛なもので、聞いている俺が耳を塞ぎたくなる。
雪弥に見えないように、ぐっと拳を握りしめた。もちろん、泣き叫ぶ雪弥に腹が立ったわけではない。雪弥にこれだけの恐怖を植え付けた見えない誰かに、無性に腹が立つ。
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