アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7
-
「大丈夫だから」
「怒られ、ちゃ……っ、」
「怒らないよ」
優しくなだめても、震える雪弥の存在はどうにも小さく見えてしまって、心が痛む。
でも、所詮高校生という分際の世間知らずの餓鬼にできることなど、あまりに少なすぎる。
「遺された人が悲しむことだけ、分かってほしい……」
「うん……っ、うん……」
ぽたぽた、と床を濡らしながら俺の腕に縋って泣いてくれるのは、少しの優越感を覚える。
「もっとルナと遊びたかったの……」
「そうだね」
「たくさん噛まれたの。痛かったけど、もう傷の場所、覚えてないの」
「うん」
「ルナの匂い、なくなっちゃうの……」
「うん」
「いつか、きっとルナのこと、忘れちゃう日がくるかも、なの」
「うん」
次々と言葉を並べる雪弥の目は、明らかな動揺と、生きる意志がうかがえた。
催促する必要なんてどこにもない。励ます必要もどこにもない。
雪弥は存在こそ儚いが、決して弱い人間じゃない。しっかり自分で前を向いていける強さを持っている。
「でも、魂いるなら、寂しくない……っ、」
涙でぐちゃぐちゃな、愛しい笑顔。眩しい笑顔。
「ルナのぶんも、春と生きるの」
「そうだな、めいっぱい生きような」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 14