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結論
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全部説明し終えた健太郎に、佐藤は眉をひそめて尋ねる。
「それ良樹じゃねえよな」
「違います。敦っていう子で」
「そんで、お前は焦って俺をリードしようと頑張ったと」
にやりと笑う佐藤に、健太郎は顔を赤くして俯いた。
膝の上で拳を握りしめる健太郎は、頑張って湧き上がってくる羞恥に耐える。
偉そうにあれこれやっておきながら何も成し遂げられなかった恥ずかしさは尋常ではない。穴があったら潜りたいぐらいだ。
黙りこんだ健太郎の肩にさり気なく手をまわし、そのまま一気に引き寄せると、少しだけあいていた距離が一気に縮まる。
吐息が耳たぶに触れる距離に、健太郎は小さく悲鳴をあげる。
「なぁに学生が大人ぶろうとしてんだよ。10年早い」
「うっでも僕だって佐藤さんを喜ばせたくって…」
「そんならお前からデートのお誘いが来た時点で小躍りしてるわ。俺はお前と一緒に出かけられるだけで十分うれしーの。無理して引っ張っていかなくても、ちゃんと俺がリードしてやっから安心しろ」
な?至近距離でいたずらっ子の微笑みを浮かべる佐藤に、思わず見とれてしまった。
魅惑的でどこか小悪魔な佐藤に魅入られそうになって、慌てて膝の皮膚を引っ張り我に戻った。このまま流されてはいつまでも手を引いてもらわなければならないような気がした。
「僕だってがっ頑張れば…!」
「ほらそれだ。頑張らなくていーんだよ」
意気込む健太郎を更に強く引き寄せる。
「俺の前で頑張らなくていいんだ。ありのままのお前でいてほしい」
愛おしくて仕方がないといったまなざしで見据えられ、健太郎の顔色はついに真っ赤に熟れてしまった。
「こんな程度で真っ赤になるようじゃ、まだまだだな」
「ひっひどいですからかわないでください…」
赤くなった相貌を隠したいあまり、佐藤の胸に顔を押し付けて小さく唸った。
ぎゅっとすり寄ってくる小動物を佐藤は我慢できず遠慮なく本気で抱きしめた。
「今度はお前が行きたい所に行こうな。ただし、泣ける場所はなしだ。笑ってた方が俺は好きだからな」
「………佐藤さんとなら、どこでもいいです」
「可愛いこと言ってんじゃねえよ。食らうぞ」
「かっカニバリズム…?」
不安そうに顔をあげると同時に、素早く降下してくる唇。数秒だけ重なり合わせたあと、名残惜しげに顔が離れて行った。
「いや、唇をな」
してやったり。得意げに唇をなめとる佐藤には一生敵わないな、と健太郎は再び胸に赤くなった顔を預けた。
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