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本屋巡り
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佐藤お勧めの本屋にはたくさんの掘り出し物が眠っていた。
大型本屋、古本屋、穴場の店まで佐藤は知っており彼がどれだけ本好きなのかを示唆するコースだったともいえる。
眼を輝かせて物色する健太郎の背後で佐藤は分かりやすく解説を加えながら面白い本の探し方を教授した。
「タイトルにつられるな。こういうのは綺麗な本を探せ」
「なんでなんですか?汚いほうがいっぱい読まれてきたんじゃ?」
「古本屋じゃ何度も売り買いされるもんが多い。汚いのは何度も買われた証拠かもしれないし、売られた証拠かもしれねえ。見分けるのは難しいが、そのうち分かってくるよ」
そんな適当かつ意味深な解説をしっかり脳に書きとめながら、彼らは本屋を廻った。
昼食は佐藤の行きつけのカフェに流れ着く。自然も多く雰囲気も良い。
何より人気が少なく静かさがある。人混みが苦手な健太郎にとって、天国のようなところだった。
慣れた様子でコーヒー二つ注文して、佐藤は健太郎の前に腰をおろした。
「何食うんだ?」
「あっえーっと」
「ほいメニュー」
「ありがとうございます。何にしようかな…」
「俺的にはナポリタンがお勧めだぜ。超うまいんだ」
「じゃあそれにします」
「了解。ナポリタン二つ頼んだ」
常連客の佐藤は気楽にピースした手をウェイトレスさんに突き付けた。
かしこまりました、と上品なお辞儀をして厨房に行ってしまったウェイトレスをぽかんと見つめ、目の前で頬杖を突いている佐藤に目を向けたのだった。
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