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映画館
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「んで、どっか行きたいところでもあるの」
「あっ映画館!映画見たいです!」
健太郎の即答ぶりに、佐藤は少々戸惑いの色を見せる。
優柔不断な健太郎は今回も行き先を決められず、佐藤に投げてくるのかと思って、デートプランを練っていたのだが、どうやら無駄になったようだ。
残念な気持ちより、健太郎の初めての我儘を快く思うべきなのか、と佐藤は自己完結して先を促す。
「へえ。何の映画?」
「え!えーっとそれはえーっと…」
口ごもる健太郎。ますます佐藤は違和感を覚えた。
あの断言ぶりからすると、よほど見たい映画があったのかと思っていたがそうでもないらしい。好きな著者が上映しているという予想は違ったようだ。
一方健太郎は、必死に敦アドバイスを思い出していた。
若者の行きそうな場所の代表地は『遊園地』『水族館』『映画館の』三つだと断言されたので、とっさに言い出しただけだった。
「まあ行ってから決めようぜ」
パニックになりかけの健太郎の心中をなんとなく察し、映画館前まで移動した。
数種類の映画が上映されているらしく、興味深そうに壁に貼り付けられている看板を眺める。
「へー結構いろんなのやってるんだな。んで?何見たいよ」
話をふられ、健太郎の脳裏にふとある敦の言葉が思い浮かぶ。
恋人らしく。恋愛に関連付けさせたらまず不正解はない。
「あっあれがいいです!あれ!」
そんな格言めいた台詞を参考にし、それっぽい映画を指さす。
佐藤の腕を引っ張って注意を向けさせると、どうやら佐藤も同意してくれたらしくだるそうに頷いてくれた。
「うし。じゃあチケット買いに行くか。ポップコーンか何かいるか?」
「キャラメルがいいです!」
「………なにそれ可愛い」
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