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昼食
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「ひっく…ぐず…」
「………おい大丈夫か」
「ごっごめんなさい…涙が、涙がとまりません」
健太郎が選んだ映画は恋愛映画ではあったが、感動系の類だった。
内容はよくあるストーリー構成だったがそれを役者が演技で見事にカバーしていた。
「素晴らしい映画でしたね…もうラストシーンとか泣くしかないです」
「そうだったか?俺としてはお前の方が面白かったけど」
隣でキャラメルポップコーンを頬張りながら、真剣に鑑賞する健太郎に気がとられて、佐藤はあまり映画にのめりこめなかった。
喜怒哀楽が意外に激しい健太郎は場面によって見事に表情が変わる。
楽しそうに恋人たちが踊っている場面は、健太郎自身がその場にいるかのような笑顔で見、男が悲壮に打ちひしがれているシーンでは、同じく悲痛な顔を見せてくれ、ぶっちゃけ映画なんかより健太郎のほうが面白い。
「あーほら涙拭け」
懐からハンカチを取り出して健太郎の目尻に押しつける佐藤。
目を真っ赤にしてすすり泣く健太郎が鼻を鳴らすと、無料でもらった宣伝用ポケットティッシュを数枚取り出し、健太郎の鼻にあてる。
「ほら。鼻もついでに拭いとけ。ちーん」
「ぐず…」
「よしオッケー。気分変えてどっか食いに行くか」
「おっオシャレなカッカフェ…」
食事はお洒落なカフェですべし、という敦の言葉が蘇ってきたが、泣いているのでなかなか言葉にしくい。
結局、そこらへんのファーストフード店で済ませた。
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