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「シュウ?」
呼びかけられて、ハッとする。
そこには、心配そうに俺の顔を覗き込むサンがいた。
「大丈夫?今朝、風紀委員長に絡まれてたみたいだけど.....シュウ?」
「さ、サン.....」
サンの顔を見たら、無性に安心してしまって目に涙がじんわりと広がっていく。
こんな所で泣いちゃダメなのに。
「こっちおいで」
サンに手を引かれ、生徒会室へと向かう。
サンは何も言わないけれど、手は離さないでいてくれた。
あったかくて、優しい手。
この手にはいつも救われてる。
生徒会室に入れば、椅子に座らされて。
サンも隣に座ってすっかり聞いてくれる体制。
「で、どうしたの?普段頑張ってるシュウがあそこで泣きそうになるなんて。風紀委員長がよっぽど怖かった?
それとも、シンの事かな?」
「どっちもぉ....」
言っていいのかちょっと迷ったけれど、元はと言えば生徒会の事でここまで拗れてしまった訳だし、隠し通せる自信も無かった。
ポツリポツリと、サンに話す。
俺の失態でこうなっていて、自業自得だからサンに怒られるかもしれない。
怖かったけれど、何も言わずに聞いてくれた。
聞き終わると、サンは静かに溜息をついた。
やっぱり怒られちゃうかな?
「シュウ、何で一人で解決しようとするのかな?一言、相談してくれても良かったと思う。
相談してくれれば、脅される事もなく、シュウが我慢する事もなかったのに」
「で、でも、あそこで従わなかったら、生徒会が今まで頑張って繕ってきたものが.....」
「シュウ」
いつもとは違うサンの声音に思わずビクッとしてしまう。
「確かに、威厳は大事だし先輩方にも言われて守ってきた事だよ。でもね、普段、散々我慢させて皆の期待に応えさせて自分を押し殺してまで頑張ってくれてるシュウを
更に殺させて、耐えさせるくらいなら、もういいよ」
「え?」
「そんな事させるくらいなら生徒会の威厳なんていらないって言ったの。そんなものよりも、俺たちはシュウが大事だよ」
そう言ったサンは泣きそうな顔をしていて。
俺が独断でこんな事したから、泣きそうになってるんだって思ったら俺まで泣けてきた。
ごめんなさい。俺が皆の事思ってるくらい、サン達も考えてくれてたんだね。
思わず、サンに抱き付いてわんわん泣いてしまった。
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