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震える手で資料室のドアに手をかけた。
この中に入ったらって考えるだけでも怖かった。でも、やらなくちゃ。
そうやって俺が自分に喝を入れていたら、横から伸びて来た手がいとも簡単にドアを開けた。
「シ、シン...」
「さ、行きましょう」
促されて一歩入れば、もう風紀委員長の視線が痛くて。
刺し殺されるような視線。
「おい、柊。何でそいつが一緒にいんだ。約束破棄してもいいって事か?」
ジロリと睨まれて俺の頰には冷や汗が伝う。
怖いけど、もう強くなるって決めたんだ!!
「悪いけど、もう風紀委員長の言いなりにならない。本当の俺をバラされたっていい。
俺には生徒会のみんなと.......真琴がついてるから」
頑張ってそこまで言い切れば、何故かシンがびっくりしたような顔をしていた。
風紀委員長も、面白くなさそうな顔をして俺を睨んでいる。
「誰もてめぇの事なんか支持しなくなるぜ」
「貴様が決めるな」
風紀委員長が言う言葉に被せるように、シンがピシャリと言った。
「シュウさんを脅して好きにしようなんて、そんなゲスな風紀委員長よりも心が真に優しい生徒会長を生徒は選ぶ。
所詮貴様は顔だけで選ばれ、ちやほやされて来ただけの中身がない人間だ」
シンの言葉に、風紀委員長の額には青筋が浮かぶ。
「言うじゃねぇか、お姫さんよ?だがよ、猫被ってんのはそいつだけじゃねぇ、てめぇもだろうが。猫被りだらけの偽りの生徒会長なんて誰も信じねーだろうよ」
「......いや、信じる。みんな結局はシュウさんに良いように手篭めにされるのさ」
シンはそう言って俺の頭を撫でてくれた。
「とりあえず、これ以上シュウさんに近付くな。次に何かしたら俺たちの持てる全ての力を使ってお前を排除する」
シンはそれだけ言うと、俺の肩を抱いてそのまま外に出た。
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