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全部キミのせい(ky→←hr)
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俺、キヨはコーヒーが飲めない。
飲まない、じゃなくて飲めない。
こーすけから教えてもらった甘いカフェオレだったらまだいけたけど、後味がしっかりコーヒーでこれまた無理。俺にはコーヒー牛乳がお似合いだ、と思っていたが。
ラーヒーが突然コーヒーを飲みたい、と言い出したので。嫌々、渋々、ほんとに渋々。
既に作られたコーヒーじゃなくて、牛乳を入れて味を調節できた方が俺にとってもメリットがあるから、挽いてある粉を買った。ついでに自分でお湯を足しながら淹れるハンドドリップコーヒーメーカーやフィルターも買って一式揃えた。
感謝しろよラーヒー、俺がここまでやってやったんだから。
「わあ、ほんとに買ってきたんだ」
『…俺牛乳9割、いや10割でいいや』
「それもう完全な牛乳だから。せめて8割…7割じゃない?」
『いやほんと無理。コーヒー苦手。飲めるヤツがすげーわ、理解できない』
ほんとーーーに気が進まないけど、買ってきた粉の裏に書かれた「おいしいコーヒーのいれかた」を見ながらその通りに分量を量ってみる。
「すりきり2杯で2人分だから、それでいいんじゃない?」
『…おぅ』
ちら、とヒラの方を見ると近い。近い…顔が。
特別意識してる訳では無かったけど、どうしてかヒラと2人きりという状況になると、変に意識して…
「ヨ……キヨ!ねえ、聞いてる?」
『…!え、と…なんだっけ』
「もー、やっぱり聞いてない。今3杯目入れようとしてたよ」
『わりぃわりぃ、…お、お湯沸いたみたいだしとってくるわ』
既に火にかけてあったヤカンが沸騰しているのをいいことに、俺はキッチンへ逃げた。
*****
少しずつお湯をつぎ足し、ドリップされるのを待つ。匂いがあまりにコーヒーコーヒーしてて、もう逃げたくなった。
「いい香り〜。たまには自分たちでコーヒー淹れるのもいいかもね」
『…ソウダネ』
つか、そのコーヒーは殆ど俺が淹れてるようなもんだけど。
「……ね、キヨ。どうしておれが急にコーヒー飲みたいって言ったか気になる?」
『それは気になるけど。え、なんで?』
「…んー、キヨがコーヒー飲めないのはわかってたけど。おれは飲めるから、ちょっと意地悪したくて。いっつもおれ、弄られてるから」
『……。俺はその嫌がらせに付き合わされた挙句、コーヒーメーカーまで買わされたのか』
脱力。ただただ脱力。
こいつにはたまに、こっちが戦意喪失…つまり、やられたらやり返す倍返しだ、っていう気すら失くなるほどしてやられる。
ああ、ああもういいよ。
もうもうとたつ湯気を意味も無く見つめながらぼぅっとしていると、隣にいるヒラがぽんぽんと肩を叩いてきた。
『…なんだよ』
「…怒ってる?…ごめんね?」
声の主に顔を向けると、眉を下げ申し訳なさそうにこっちを見ている奴がいた。
『…そんな顔するくらいなら、最初からやるなっつーの』
全く、とヒラに軽くデコピンを喰らわす。
「った…、キヨ、あの…」
何か言いたげなヒラを無視し、ドリップされたコーヒーを自分のカップに注いだ。
ブラックなんて飲めない。
飲めないはずだったけど。
ヒラにそんな顔させた自分が悔しくて、熱さすら考えずにその場の勢いでぐい、と口に含んで一気に飲み込んだ。
『……んぐ、ぅ』
「き、キヨ、飲めないのに何してんのっ!?」
『……ぁ、だめ、やっぱりコレだめだぁ』
出たのは思った以上に間抜けな声。どうだ飲めただろなんて言える余裕、俺にはなかった。
「ばかだなあ…牛乳入れればいいのに…」
そんなことを言いながらも背中を摩るヒラは優しい。自然と顔が熱くなっていく。
『うるせー、ブラックの気分だったんだよ』
「飲めないのに?」
『……ヒラの、せいだ』
「へ?」
『コーヒー飲むことになったのも、苦いのに我慢して飲んだのも…でも全っ然腹が立たないことも、全部…全部お前のせいだから』
言った後すぐ後悔した。何言ってんだろう俺は。こんなことを言ってヒラを困らせて、何がしたいんだ。
ヒラがなにか言う前に
『…ごめ、ヒラ』
訂正、しないと。
「キヨ」
そっと、左の頬に手が伸びてきて優しく撫でられる。くすぐったくて、恥ずかしくなって目を逸らした。
『な…なんだよ…』
「ううん、ただね…おれのせいでいいかもって思っちゃった」
『は…?』
「さっきキヨが言ったこと、ぜーんぶおれのせいでいいよ。
…その代わり、おれがキヨと一緒に居てゲームしてるとき、話してるとき、今こうしてる間もずっとドキドキしてるのは、ぜーんぶキヨのせいだからね?」
『え…』
今、なんて。頭がついていかない。
俺と一緒に居ると…?ドキドキ…?
突然コーヒーが飲みたいとか言い出したのも、
嫌がらせだったのに急に申し訳なさそうにしてたのも、俺と一緒に居てドキドキ…してるのも、全部…
「ここまで言えば、さすがにキヨでも気が付くかなって思ったんだけど、どう?」
どうって、いや……とりあえずもう今日は。
『参りました…』
口に残るコーヒーの苦さと、甘く疼く心臓が俺の思考回路を停止させた
end
########
hrさん受けも好きなはずなのに、いつもどうしてかkyさんが弱くなってしまいます。いつの間にかkyさん受けに。hrさん受けも書きます、絶対。
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