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午前2時過ぎ、君と(kyhrからのhrky)
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「今から俺と遊ばない?」
キヨからその電話があったのは、午前2時を過ぎていた。企画かなと思ったけれど、その為に嘘はつかないと決めていたので『いいよ』と返事をしたものの、「こっちが迷惑だからいいわ」と電話を一方的に切られる始末。
友達としてはちょっと悲しくなったけど、まあキヨらしいといえばそうなんだろうな。
どうせ俺も、自宅に居るこーすけとスプラでタッグマッチやってたしね、キヨの言動でいちいち振り回されてたらこっちだって堪んないよ、と自分に言い聞かせた。
***
それから10分後、LINEの通知音がして。丁度よく勝利したところでおれはスマホをちら、と覗く。
そこにはキヨからのLINEで「やっぱ来て」と一言だけ。
『…なんなんだよ』
突き放したり寄ってきたり、キヨのことはわかるようでわからない。
絶対なにもないだろうけど心のどこかでキヨに何かあったのではと心配すらしてしまうおれは、どうしようもなくバカ。
キヨのところに行かないとと思うより先に、LINEでこーすけに『急用できた、ごめん』と送っていた。
意味のわからないスタンプで返ってきたのでまあ了解ってことだろう。おれは財布とスマホだけ持って自宅から出た。
***
自宅から出て20分の道のりを、走ったせいか12分ほどで来たおれは乱れた呼吸を整えながらキヨの家のインターホンを押す。
キヨに何かあったのではないかと思う自分が恨めしいが、早く彼の安否を確認したかった。
ドアが開いてそこにいたのはそう、おれを呼びつけたキヨ。ああよかった無事だった、と思ったものの、じゃあどうして呼ばれたのだろうという疑問が残る。
「…ラーヒー、早かったじゃん。入れよ」
『…誰かさんのせいでね』
あのLINEじゃなにかあったんじゃないかって思ってしまうから。怪我とかしてない?と聞くとキヨに真顔で「するわけねぇだろ」と返される。
心配した自分がバカだった。
いつも実写動画を撮る部屋に通されて、キヨの隣に腰を下ろす。
『…じゃあ、なんで呼んだのさ』
「んー…ラーヒーはなんでだと思う」
『今から実況?』
「ちがーう」
『スマブラでもするの?』
「それもブー」
彼は意味も無く人を呼んだりしない。意味も無く呼ぶのはさっきかかってきた企画であろう電話の時くらいだ。
考えをぐるぐる巡らせるも、やっぱり答えは出なかった。
『…だから、おれはわかんないから聞いてるの』
困り果ててとうとうキヨに答えを求める。
キヨはというと俺の言葉に少し眉を下げていたけど、やがて決心したように口を開いた。
「…あいた、…かったから」
『…え』
聞き間違えたのだと思った。おれが自分の都合の良いように変換しちゃっただけだって。
「だから…ぁ、会いたかったんだよ!お前に!」
顔を真っ赤にしながら言うキヨに、おれは現実に引き戻される。キヨがおれに会いたいなんて、ゆめじゃ、ないんだ。
『う、うん。うれしいよ』
ほんとはおれも会いたかったよって言いたかったんだけど、どうしても言葉が出てこなくて。
ほらおれって童貞だから3次元なんてどう対処したらいいものか。下手したら気持ち悪がられたり、キヨを傷つける可能性すらある。
でも…
『おいで、キヨ』
「…っ」
羞恥で涙目になっているキヨを見たら。おれも応えなきゃって思った。
腕を広げできるだけ優しく微笑むとキヨは胸の中に飛び込んできた。
『ふふ、今日のキヨは素直で甘えん坊だなあ』
「…ん。さっきの電話、ごめん。ほんとは、会いたかったけど…企画だったから」
『…そっか、でも呼んでくれたじゃん。気にしないで?』
そう言って頭を撫でてあげるけどキヨはまだ気にしている様子で、何も言わずに肩口に顔を埋めた。
そのまま10秒、20秒と時間が経っていって。
程よいお互いの体温が心地よくて、離れたくないなぁなんて。
キヨに言えたらどんなにいいだろうか。
キヨはこんなにも素直に会いたかったって言ってくれたのに。おれは恥ずかしいからなんて理由で逃げてばっかりだ。
もうこれは、言えない方が恥ずかしくて情けない。
『キヨ、あのね』
「…うん?」
やっとこさ呼吸を整え、数秒後。
これだけはおれから、伝えたかったこと。
『すき、だよ』
end…?
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※修正しました(汗)
kyhrを書こうとしたらまたhrkyになってしまいました。きっかけはあの動画です。
恋愛に発展するまでの微妙な関係や、既にすきだけどなかなか言えない感じが好きです。
最後まで読んで頂きありがとうございます、ではまた次のお話で。
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