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無自覚(kyhr) 後編
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注※無自覚(hrkyっぽい)ky→(←?)hrの続き
hr視点です。
*****
おれは今、とても困った状況に置かれている。
その原因は先日、キヨから話された内容にある。
*****
数日前…
『キヨ、あの…話って?』
「…ああ、前に言いたかったこと、言っておこうと思って」
『うん、おれも聞きたいと思ってた』
どんな話なんだろう、ずっと何でもないってはぐらかされてたから余計に気になる。それに、キヨすごく悩んでいるみたいだった。
せっかく話してくれるんだから、
俺もキヨの役に立ちたい。
…そう、思っていた。この時までは。
「俺さ…ラーヒーのこと、よく目で追っちゃうっていうか、…いつも気になって見ちゃうんだよね」
『…うん?』
…え?
「それで…最近ずっとお前のことばっかり考えちゃうし、やたらと胸が痛いんだけど」
『う…う、ん?』
……まさか。でも、そんなわけ…。
「ラーヒーが帰ったらすぐ寂しくなるし…出来ればもっといて欲しいなんて思うし。俺、頭おかしくなってんのかな…」
キヨ、それって…
それって、もしかしなくても…
「ラーヒー、これってさ何かの病気?ラーヒーでも、わかんないか」
『う、うん…俺、そんな経験したことないからわかんないや…。でも、俺もなにかわかったら教えるね』
「…ん、わかった。聞いてくれてありがとな」
…嘘ついてごめん、キヨ…。
突然のことで頭の中が混乱しているおれは、後で罪悪感に苛まれるのをわかっていながら、出来るだけ自然に話すので精一杯だった。
*****
そして、現在に至る。
おれは新実況を撮るためにキヨの家へ向かっている。お互い忙しくて数日空いたこともあり、キヨに会えるのが楽しみで…、
い、いや…うん、純粋にね会えるのが楽しみで。これは変な意味じゃないから、絶対。
キヨがおれに好意を抱いてくれていることは、嬉しいことだと思う。でもその好意は、友達としてではなく…恋愛対象として。
…しかもそれを、本人はまだ気が付いていないなんて鈍感過ぎる。
あんなにストレートに言われたら、おれでも気が付くしキヨのことを意識せざるを得ない。
そして…おれもそれが嫌じゃないから、今とても困っている。
同性愛、男同士、その言葉に偏見はない。
でもいざ自分が直面するとなると、少し勇気が要る。
やめとけよ、親や皆にどう説明するんだよって思う自分と、キヨとだったらいいのかも、なんて思ってしまっている自分もいる。
『はぁ…』
そうこうしているうちに、キヨの家に着いた。
インターホンを押そうとしたら、キヨが家から出てきた。反射的に1歩後退る。
『わっ』
「っ…ヒラ?」
『キヨ…』
お互い目を合わせ何も話さないまま数秒の沈黙。どちらからともなく目を逸らした。
「…は、入れよ。準備出来てるから」
『う、うん…さすがキヨ、早いね』
いつもこんな感じじゃないのに。おれがキヨを意識しているからか会話がぎこちない。
実況部屋に入ってパソコンの前に座る。今回は2人でフリーホラーゲームの実況。part数は少ないだろうけど、数少ないキヨと2人での実況だ。
だからこの時間を大事にしようと思っていた。
けれど。
*****
出来るだけ自然体でいようとするとかえって逆効果で、実況ではスベるしゲームでは失敗ばっかり。収録が終わって気が付けばこの1日、キヨに迷惑かけっぱなしだった。
『ああ…おれダメだったなあ…』
「うん、ほんとダメだったよな」
キヨに言われると、心が痛い。まあおれが悪いしほんとのことなんだけどね。
『……うん、ごめんねキヨ。…せっかくこのホラーゲームの実況やろうって誘ってくれたのに…
おれ、キヨの足引っ張ってばっかりだね…』
「……ヒラ」
名前を呼ばれたけど、キヨの顔を見ることは出来なくて。
おれ、なにを1人で浮ついてたんだろう。
キヨがおれのこと好きだからって、自分も急に意識し始めて。
きっと心の何処かで調子に乗ってた。
キヨは、実況の時は人が変わったようになるけど、それだけ実況に本気だし真面目なんだ。
でも、おれは……
「ヒラ!」
『っ!キヨ…?ごめん、』
ぐに。
『ん、む…!?』
両頬に僅かな痛み。
キヨがおれの頬をぐにぐにと抓る。
「お前に謝られんの嫌なんだよ。それに足引っ張ってなんぼだろ、仲間なんだから。お前の気が済むまで引っ張ればいいじゃん」
『ん…』
「お前良い奴だから色々考えるんだろうけど、もっと気楽にいけよ。フジもこーすけもいるし、…俺がついてんだからさ」
『う、ん…。ありがと、キヨ』
少し泣きそうになったけどなんとか堪えて、キヨの言葉に頷くと彼は頬から手を離して笑ってみせる。
その笑顔に感じた確かな胸の高鳴りに、おれはやっと中途半端だった自分の気持ちに踏ん切りをつけられた。
おれ、好きなんだ
キヨのこと。
「…あーまただ」
『…うん?』
「……お前を見てると胸が痛い」
『それまだ気が付いてなかったの!?』
「…へっ?お前、知ってんの?」
おれはしまった、と口を手で塞ぐ。
呆れた。ほんと、自分のことには鈍感。
「なあ、ヒラ」
『恋なんだってば!』
「っ!?」
叫ぶように言い放って彼から顔を背ける。恥ずかし過ぎて死にたい。これで間違ってたら一生恨んでやる。…嘘だけど。
「…そっか。俺はヒラが好きなだけか」
『…え?』
思ってた反応と違う。キヨなら、男同士なんて気持ち悪いとかそれは絶対ないとか言いそうなのに。
「俺はお前が好きだけど、お前は違うんだろ?」
『えっ……
おれは…っん、』
突然話を振られたおれは自分の気持ちを伝えようと思い、口を開こうとしたがキヨの手によってそれは塞がれた。
「ま、それはどうでもいいや。
どうせ俺が落とすから」
その言葉に胸がぎゅっと締め付けられていく。
もう落とされてるなんて、言えない。
end
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長めですみません…短編を書いているのに長く感じます。
リクエストありがとうございました!
それではまた、次のお話で。
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