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貧血気味(hrky)
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『…ふぅ、…』
ここ数日なんだか立ち上がる度に頭が痛くて、目眩がして時々倒れそうになるのが、自分でも自覚してしまう様になってきた。
でもそれ以上に忙しくて、体調管理なんて考えていられなかった。でも、まさか自分がなんて思いもしなくて。
実況は溜め録り出来たし、編集も何本か済んでいる。いつでも動画を上げる用意は整った。
次の予定まで少しだけ休憩しようとソファに寝転がって、目を閉じた。あと10分もすれば、うるさい奴らが家に集まってくる時間だ。
『昼から実写動画だっけ…』
少しだけ開けた窓から入る風が気持ちいい。このまま寝てしまおうかななんて。どうせ皆が来たら起こされるだろうし。
「キーヨッ、お邪魔するね」
ドアの向こうからヒラの声がして、奴は折角寝ようとしていた俺のいる部屋に容赦なく踏み込んでくる。
『…もう来たのかよ』
「え?来ちゃだめだった?」
『…いや、少し寝ようかと思ってただけだし』
別に問題ない、と言って怠い身体を起こすとすかさず頭痛と目眩が襲ってくる。
我慢出来ない訳ではないが、痛みがある時は座ったり横になったりしていないと辛い程度。
『…はあ…、』
「キヨ?どうしたの…」
それ程しんどそうな声だったのか、ヒラが怪訝そうな顔をしてじっと見つめてくる。
『…いや、頭痛くてさ、目眩がするだけなんだけど…ここんとこなんか酷くて』
「…、病院行った?」
『行くわけないって、このくらいで』
「だよね、知ってた。辛いなら横になってて?ご飯はちゃんと食べてるの?」
『…今日はまだ』
「…もしかして食欲ない?」
『…ん』
渋々頷くとヒラは段々と眉を下げ心配そうな顔をする。俺自身全く食べていないわけではないが、早めの夏バテなんだろうか、朝と昼は殆ど食べられなくなってしまっていた。
「…あ、そうだ。暑いからさ、ゼリー買ってきたんだよ。食べられるんだったら、食べて?」
あげる、とコンビニの袋から取り出したのはゼリー飲料で、食欲がない俺にとっては無理なく腹に流し込める。これ以上ない食料だった。
『…ありがと、さすがヒラ…』
ゼリー飲料を受け取ると水分もちゃんと摂ってね、クーラー効いてるけど寒くない?なんて言うこいつは男にしては随分面倒見が良い。実際ヒラの方が身体は弱い方だし、俺が弱ってるのが珍しい。
「今日外で動画撮るんでしょ?やめとこうよ、身体が心配だし。顔色も悪いし…目の下のクマひどいよ」
『…でも、皆、楽しみにしてくれてるから』
「それで身体こわしてたら、皆に心配かけちゃうんだよ」
『…わかってる』
ヒラからの視線がなんだか気まずくて、視線を下に落とした。いくら家を借りたといえど4人が1度に集まれる日は限られているし、今回撮らないとまたしばらく日が空いてしまう。それを考えたら無理にでも今日中に撮ってしまいたかった。
「…どうしても今回じゃないとだめなの?」
『ん…だめ。やらないと俺の気が済まないから』
「…はぁ、頑固な友達を持つと苦労するなあ…。わかったよ、でも無理したり倒れたりしたらお仕置きだからね?」
『わかった』
「ほんとに?」
『うん、わかりました』
「ふふ、よしよし」
この時横になったままの俺は頭痛で回らない頭をなるべく使わないように適当に返事をしてしまった。するとすぐ傍まで近付いてきたヒラに頭を優しく撫でられる。
まるで俺の痛みがわかっているみたいに、指先から手のひら、触れる全てが痛みを和らげてくれている様に感じた。
『…待て』
撫でられたおかげかどうか定かではないが痛みが一時的に引いて正しい思考が戻ってくる。そういえばこいつさっきお仕置きとかなんとか言っていなかったか。何に対して?ていうか、病人に対してお仕置きとかどういうことだ。
「どうしたの?」
『…お仕置きってなに?』
「え…、それを言ったら面白くないよね」
なんだそのお仕置きする気満々ですみたいな口ぶりは。
『いや、俺は病人で…』
「わかってるなら、今回動画撮るのやめてくれる?」
『そ、それは…』
確かにヒラが言うことはご最もで、何も言い返す言葉がない。だからといって動画を撮るのは諦めたくないし、でもそれが無理をしてるってことなんだろう。俺は一体どうすれば。
「はい、じゃあお仕置き決定ね?」
『いや、なんで!俺はまだ何も言ってな、…っ』
割と声に力が入ってしまったからかまた頭痛に襲われ、先程より身体が力なくぐったりとしてしまった。
「無理してもいいけどさ、逃げられないのわかってるよね?」
『へ…、?だ、だって、もうこーすけも、フジも来るし…』
「実はさっきね?2人には2時間くらい遅れて来るように連絡しちゃった」
『は…っ?なんの、ために…』
身の危険を感じ始めた俺は身構えようとしたけれど、時すでに遅し。彼が俺の腹の上に覆い被さって、可愛らしく微笑んだ。
「…無理させないから、ね?」
end
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なんか、こういう平凡な日常の会話から急にっていう話が書きたかっただけなんです。最近実写多くて妄想が…。
ここまで読んでくださりありがとうございます。ではまた次のお話で。
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