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良い友達だった(ky(→)←hr)
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※hr視点
今日は珍しくキヨと一緒に、大型のデパートへ来ている。その理由は先日彼から一緒に出掛けないかとLINEで誘いが来たからで、おれは快く了承した。
新しい実況を撮るためにゲームを買いに来たり、その他実況や実写に必要な電化製品や小物を買いに行こうというのならまだわかる。その場合のおれは大抵荷物持ちだ。…というか、重そうだから持つよとおれから言うので無理矢理とかではないけれど。
でもそれすらも告げられずに現在に至る。一体何をしに来たのかおれはよくわからないままだ。
『ねぇ、キヨ?何を買いに来たの?』
「…んー、服?」
『へっ?』
実写用かな、と思いつつ彼の後ろをついていく。
彼は本当に普段極力出歩きたがらないから、今日は一体どういう風の吹き回しなんだろう。明日は天変地異が起きそう。
キヨがふと足を止めたので彼の目線の先を見る。
そこにはネックレスやら指輪、アクセサリーが並んでいる店だ。
女の子やカップルが多くて、男2人のおれたちはすごく入りづらいところ。1組のカップルを見ると、お揃いのペアのネックレスを手に取って見ていた。
爆ぜろなんて思わないけれど、少しだけ羨ましくなった。おれもいつか、大好きな人とこんな風になれたらいいな…
「ヒラ?」
おれは無意識にキヨを見つめていたらしく、視線に気が付いたキヨは首を傾げる。かっこいいというか可愛いというか、たぶん今の彼にはどちらも似合う。
『…っあ、ううん、なんでもないよ。それよりさ、服を買いに来たんでしょ?』
「そ…そうだった」
そう言ってふい、と背を向け歩き出した彼の頬は、心なしか僅かに染まっている様な気がした。
*****
「どれにするかな…」
『んー…キヨならどれでも似合っちゃうからね』
「は?ラーヒーの服選んでんだけど」
『えっ…おれ?』
確かに自分の服を買いに行くのにわざわざおれがついてくる必要はない。でもどうして突然おれの服なんか。しかもキヨが選ぶなんて。
気持ちは嬉しいんだけれどここの服、なんだかキヨに似合いそうなかっこいい服ばっかりだし。おれが着るのはちょっと考えものである。
『それって実写用?』
「ううん、普段着」
『そ、それは別に選んでもらわなくてもおれ…1人で買えるよ?』
「…それは、そうなんだけど。
……これ、ラーヒーに似合うかなって、前来たとき思ったから」
『…!』
キヨが手に取って見せたのは、夏だけど涼しげな薄い生地の上着。色もなんだかおれ好みで、派手過ぎず地味過ぎず、かっこいいというよりは可愛い…のに近い。
『おれの…ために?』
「…そうじゃなきゃ、おかしいだろ」
『う…うん』
胸がどきどきして、いっぱいになって、何故か言葉少なになる。彼はおれの好みも、どんなのが似合うのかもよくわかってくれている。
おれはつくづくいい友達を持ったと思う。
「ヒラが嫌じゃなかったら、これプレゼントさせて欲しいんだけど」
『い、嫌じゃないよ、嬉しい…』
それを聞いた彼はよかった、と嬉しそうに微笑んだ。買ってもらうことに少し抵抗があったものの、彼がおれのために、おれのことを考えて選んでくれたことが素直に嬉しかった。
会計が終わり、丁寧にラッピングまでされたそれを渡される。服のプレゼントなんて今までされたことなかったから、おれにとっては友達というよりも…
「さっ、目的も済んだしどっか飯食いに行くか」
『おー、いいね。じゃあ今度はおれが奢るよ?』
「あー…ダメ。今日は全部俺の奢りにするってさっき決めたから」
『な、なんか…申し訳ないんだけど』
「いーから。今日は大臣機嫌いいんでなんでも奢りますよ国王」
ここでおれたちの実況のネタを放り込んでくるあたり本当に機嫌は良いようで、本当に明日は雹でも降るのではと思ったが、このネタを逃すおれではない。
『…言ったね?今日はとことん呑みに付き合ってもらおうか大臣』
「勿論、国王の仰せのままに。…先に酔い潰れるのはお前だろうけどな」
『うわー言ったな、今日は負けないから』
「…勝負してんじゃねえっつうの」
ぺし、と頭に軽くチョップを喰らわされる。
頭は全く痛くない。でも何故か、彼が触れるだけで胸が痛くなり、顔が熱くなる。彼と目が合うと恥ずかしくなって、自然と俯いてしまう。
今日のおれ、なんだか可笑しい。
「…おい、ヒラ?」
『んっ…!?』
俺の顔を覗き込む様にじっと見つめてきた。
出来るだけ異変を感じ取られないように視線だけ逸らしてなんでもない、と告げる。
「…ならいいけど。ほら、行くぞ」
『…うん、』
2人一緒に、並んで歩く。今までもこんなこと沢山あったのに、今はそれだけでどきどきするなんて。
自分の中で既に答えは出ているはずなのに、絶対にこの気持ちは外に出してはいけない気がした。
隣を歩く彼の横顔をちらりと見て、気が付かれないうちに視線を戻した。
''良い友達''
それは前からずっと思ってたこと。
そして彼にとっても、恐らくは。
今も、これからも変わることはない。
でも
でもね
時々、キヨといると''良い友達''なんかやめてしまいたくなる
end…?
########
続けられたら続きも書こうかなと思ってます。
両片想いみたいな感じ…?をイメージしてみました。多分向こうも好きだけれど、好きとはまだ言えないというか。
ここまで読んでくださりありがとうございます、ではまた次のお話で。
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