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お願いごと(kyhr)
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※ky視点
ヒラと付き合い始めて、3ヶ月が経った。
メンバーも、他の誰も俺たちの関係を知らない。
というか、奴らは薄々気が付いている様子だし、空気を読んでるのかやたらとふたりきりにしたがるし、聞いてこないからこっちからも教えてやらない。
俺が想いを告げた時、ヒラは最初こそ驚いていたけど少しして照れ笑いを浮かべ「おれも好きだよ」と言ってくれた。
お互いに何かが変わった訳ではなく、今まで通りに接していられる、だから今まで通りヒラと仲良く居られたら俺はそれで幸せだなって思ってた。
だけど俺は考えた。
これは恋人とは言えないのではないか。
ただ想いを伝えただけで、恋人になれるわけではない。
恋人ってなんだ。恋人らしいことって、なにをどうすればそれっぽくなるんだ。
『ラーヒー』
「なにー?」
『あのさ、なんかして欲しいことない?』
「え?どうしたの、急に」
キヨがそんなこと言うなんて珍しい、って顔をしてる。そりゃそうか、滅多なことじゃ俺は頼まれ事なんて引き受けない。ましてや誰かの為に何かをしたいと言うのは自分ですら気持ち悪…、もう考えるのはやめよう。
『なんかさ、俺たち恋人…だからさ、なにかしてあげたいって思って』
そう言うとヒラは恋人という単語に慣れてない所為か頬を赤らめる。
「へっ…?う…うん…おれも、それはいつも思ってるよ。キヨの為に、何が出来るだろうって」
『…いや、ヒラには充分世話焼いてもらってるし、居てくれるだけで癒しだし、困っている人のことは必ず助けるし、いつも他人を想って行動できるし、』
「え、そ、そんな…こと…」
『実況もゲームも出掛ける時も一緒に居てくれるし、だから1度も寂しいって思ったことないし…俺はもう与えられ過ぎてるから』
「わ、わ、ストップ!お願い褒めないで、照れるから」
顔を真っ赤にして頬を両手で覆うヒラ、可愛過ぎか。俺が彼を褒めるのは照れている様子が見たいから。でも全部本当のことで、からかっているつもりはない。
『悪い。でもそういうことだから、今回は俺になにかさせて欲しい』
「う、うん…それはすごい嬉しいけど、なんだか申し訳ないな…」
『お前が気にする必要ないだろ。で、何して欲しい?』
ヒラは顎に手を当てて、急に言われてもとしばらく黙り込んで考えていた。その後、突然腕を広げてこちらを見つめた。
「ぎゅ、ぎゅーってして、とか?」
『!?』
「や、えっと…これはさすがになし?」
待って鼻血出そう。
なんだ俺のヒラはやっぱりただの天使か。
腕を広げて待ってくれている彼をこのまま待たせても可愛いところは見れるけど、それは可哀想だから抱き締めて背中を撫でる。
『よしよし』
「ふふ、母さんみたい。キヨ優しい」
''母さん''てお前、割とショックを受ける言葉を言うな、仮にも恋人だぞ俺は。
父さんとか兄さんならわかるけどまずオカンはないだろ。俺面倒見はよくないし、料理もそんなに出来たもんじゃない。なのによしよしと背中摩っただけで母さん呼ばわりは如何なものか。
『俺の立ち位置母親かよ』
「ううん、おれの1番大事な人だよ」
『……そ、そう…』
ほらまた、そうやって自然にどエライことを言ってくるんだから反応に困る。嬉しいけど返す言葉も詰まって出てこないし、言いたい事が言えなくなって結果気まずい。
「ねえ、キヨ、」
『…なんだ?』
「もうひとつお願いしてもいい?」
『ん、俺に出来ることなら』
するとヒラはなにか言いたげに俺に目を合わせたり下を向いて俯いたりする。
そんなに言いにくいことなのだろうか、俺はヒラの手を握って自分なりに優しく微笑んだ。
何でも言っていいよと、示すように。
「あの…ね」
『ん?』
「その…」
『うん、』
「きす、…して?」
ここに、とヒラは自分の唇を人差し指で指さす。
その頬は紅く染まっていて、強請る様な、期待してる様な蕩けた瞳で見つめてくる。まるで誘惑する小悪魔、いや間違えた純白の天使。
『……誘ってんの?』
「!……、うん」
いつもの彼だったらそんなことないと全否定してくるのに、今日はやけに素直で。まるで経験豊富な女子か、キスなんてしたことないくせに。
『'' 初めて ''…だろ?』
ヒラの頬に手で触れると肩がびくんと跳ねた。
「…うん、だから、…ね…?」
その手に彼は自分の手をそっと絡めてくる。
「おれの '' 初めて ''、…奪って?」
いつもより甘えた声が、耳に届く。
2人きりの部屋で俺たちを邪魔するものは無く、ヒラはゆっくりと目を瞑った。無防備で無抵抗な姿に余計に煽られて。
ヒラを抱き寄せ、その柔らかい唇にキスを落として、そのままソファへゆっくり押し倒した。
end
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最近書いてて自分で意味不明になることが多いです…ただでさえ拙い文なのに(汗)
ここまで読んでいただきありがとうございます。それではまた次のお話で、あたたかい目で見守ってくださいませ。
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