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別れ
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やっと僕達はここまでたどり着いた。
あと一歩、踏み出せばいい。
やっと自分の国に戻れるのだ。
しかしライトはそこで足を止めてしまった。
「…ライト?」
繋いでいた手が離される。
「ごめん、ここから先には行けないんだ。」
「なんで…一緒に逃げるって、言ったのに。」
「ごめん。」
ライトは真っ直ぐ僕を見つめる。
「俺にはまだ、やらなきゃならない事があるから。」
ライトがやらなきゃいけない事。
分かってる。
ライトは勇者様だから。
ライトは人間で、人間の事を大事に思ってる。
王様から人間を守るために、王様と戦うつもりなんだ。
そんな優しいライトが好きだ。
だから僕には止められない。
一緒に行きたい、離れたくないなんて、僕のわがままだから。
でも…
「もう会えないの…?」
会えないなんて嫌だ。
僕はボロボロと涙を零す。
するとライトは困ったように僕の涙を拭った。
困らせたくないのに、僕はライトを困らせてばかりだ。
するとライトが僕に手を伸ばし、優しく髪を撫でて微笑んだ。
「俺にはやらなきゃならない事がある。
…だから、それが終わったらニーナを迎えにいく。それまで俺を待っていてくれますか?」
僕にはそれがプロポーズに聞こえた。
離れるのは悲しい。
でもライトはちゃんと迎えにきてくれるって約束した。
だから僕は、ライトを信じるよ。
「待つ…僕、ずっとライトの事待ってるから!」
涙でぐちゃぐちゃになった顔。
ライトはそんな僕を見て笑う。
「うっ…笑わないでよ!」
「いや、だって、可愛いなぁって。」
「ぅえっ…あの…」
不意打ちに照れてしまう。
「ニーナ、そろそろ時間だ。」
「…うん。」
お別れの時間。
「ニーナ、愛してる。」
一言、そう残してライトは僕に背を向けた。
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