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どろどろの邪心(2/12)
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* ──やれやれ……。 またヒトの子が、我の住む森に迷い込んできた。 さて、どうしてやろうか。 このまま喰らうか、逃がすか。 選択はこの二つしかあるまい。 二度とヒトなどと縁を結ぶものか。 裏切られるのは……もう沢山だ。 嘆息をつき、泣いていた少年の元へ視線を戻す。 が、少年はもうそこへは居らず、我の足元にしがみついていた。 「にーちゃん……っ」 「離れろ、ヒトの子」 ヒトの子はふるふると首を振るとさらにギュッとしがみつき、我の着物に涙のシミとシワをつくる。 大方、"迷子になった事が怖かった"事実を認めたくないが、離れられないのだろう。 この年頃のヒトの子は、やけに意地を張るものだ。 そっとヒトの子の髪に触れてみる。 ……温かい。 ヒトの温もりは久しぶりだな。 この少年の頭を捻り潰せば、我は己を苦しめる古き呪縛から解放される。 だが……きっとまた、我はできないのだろうな。 「……にーちゃん」 「……」 ハッと我に返ると、ヒトの子はもう泣き止んでいてジッと我を見上げていた。 モジモジと体をそらしながら片手を己の股に添え、もう片方の手で我の着物を掴んでいる。 「……何だ、ヒトの子」 「オシッコ…」 「……!おい…っ」 まさか。 我は目を見開き、ヒトの子から離れようとする……が、遅かった。 ヒトの子はブルッと震えると、耐えきれずに尿をもらしてしまう。 温かいそれは、我の着物と足元をじんわりと濡らした。 何度もヒトとは交わってきたが……尿をふっかけてきたヒトの子は初めてだな…。
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