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どろどろの邪心(12/12)
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「この山は代々受け継がれ、私が死んだら娘へ、娘が死んだらその子供……つまり、このたっちゃんへと、永遠に引き継がれる。
だから…山の事は安心してくだされ」
「ばーちゃん、俺、ずっと白の山を守れるの?」
「そうだよ…たっちゃん。 ……狐さんよ、私から一つ小さな頼み事があるのだ。
この山を引き継ぐことになる私の
孫……達希を、どうか優しく見守ってくだされ。
狐さんが苦しまぬ程度に……。たっちゃんを頼みます…」
「……」
老女が立ちさった後も、小僧は小祠に残り、遊んでいる。
見守る…か。
ふん……少々気が変わった。
老女に免じて、少しだけ付き合ってやろう……。
ヒトへの報復の余興にな。
我は少年の後ろに立つと、声をかけた。
「小僧」
「……!白…?…っ、ハクうううう!!!」
「うッ」
涙目で我の腹へ突進してきた小僧を無理やり引き剥がし、膝をついて目線を合わせる。
「小僧……、お前と一緒に居よう」
「白…!」
「だが、一つ契らせてもらおう。
お前が元服の年頃になった後、日没までに山を下りなかったその時は──我はお前を喰らう。
……よいな?」
「うん!"げんぷく"って知らないけど、ずっと白と一緒に居られるなら、いいよ!約束!」
「……あぁ、確かに契ったぞ」
愚かなヒトの子よ……。"化け狐"を信用したお前が悪いのだ──。
(一章・終)
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