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ちぎり、ちぎり(1/21)
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白が俺のために、全てを捧げてくれる。
……嬉しかった。だから、俺も白に全部あげるよ。
「かーちゃんがね、ばーちゃんの家を時々掃除するって言ってた。だからこれからも毎年会えるよ、白!」
「……そうか」
山肌の上に薄く積もった雪を長靴でざくざく踏みつけて遊んでいると、キセルを吸っていた白が白い煙をはき俺の方に近づいてきた。
「……体が冷えるぞ。小屋の中で暖を取ろう」
「平気だよ!白のマフラーがあるもんっ」
「ふん…生意気なヒトの子が」
「ヒトの子じゃないってば!た・つ・き!」
小屋の中に入っていく白の背中を追いかけて訴える。
床に腰をおろした白をじーっと見つめると、白がごほんと咳払いをした。
「…そんなにじっと見つめてくるな」
「白は何を吸ってるの?体に悪いタバコ?」
「薬草を燃やして吸っているだけだ。我は山の精を体内に取り込んで生きているからな」
「山のせい……?なぁに、それ?」
「ヒトで言う食事のことだ」
食事……?じゃあ、体に悪いものではないのかな。
白の手からキセルを奪い、口をつけて煙を思い切り吸い込む。
そんな俺を見て、白は声を荒げた。
「うつけ者が…っ、やめろ…!」
「…っ!?ゲホゲホ…ッ、うぇ、苦い……けほっ」
咳がなかなか止まらない。目尻から涙がぽろぽろこぼれ落ちていく。
何これ……?白、こんな不味いもの吸ってるの?
白のほうをチラッと見ると、黒いオーラみたいなものを体に纏っていた。
狐面で顔が見えなくても分かる。白、すげー怒ってる……!
「小僧…!急に何をしでかすのだ、肝を冷やしたぞ!?」
「ご、ごめんなさい……だって、白のする事、全部きょーみがあるんだもん…」
「……、それとこれは別だろう」
白は不機嫌そうに鼻を鳴らすと俺の手からキセルを奪い返した。
あぐらをかいて煙をふー…とはき出す白。
しょぼんとしながらその姿を見つめていると、白がぼそっと呟いた。
「……あまり心配させるな。我の心臓がもたぬ」
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