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ちぎり、ちぎり(4/21)
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白の様子が……何だかおかしい。
思わず俺が手を伸ばすと、バシッと叩かれて払われた。
「……白?」
「触るな…!」
白は声を荒げると、立ち上がって山の奥へと歩いていってしまう。
慌てて追いかけ、その白い手をガシッと掴んだ。
「待って、白!どーして怒ってるのさ!?」
「どうしてだと?それも分からないのか、ヒトの子!我が…っ、どれだけお前のことを……!」
「ごめん…ごめん、白……落ちついて」
白を自分の元へ引き寄せ、抱きしめる。
といっても俺のほうが背ー低いし、かっこ悪いけど……。
白の背中に腕を回してゆっくり撫でる。
僅かに震えている、白の体。
もしかしたら泣いてるのかもしれない。
「俺、頭悪いから……白のこと分かってあげられなくてゴメンね。
けどさ、俺、白のこともっと知りたい。だから今の白の気持ち、俺に教えて?」
「……っ」
白は鼻をすすると俺の背中にゆっくり腕を回してくる。
耳元で、白が呟くように想いを口にした。
「……怖い」
「え…?」
「お前に……相方が出来てしまったら……もう我の元へ訪れぬようになるかもしれない…。
今までのヒトの子と同じように……達希も……」
「白……」
そっか…そうだよ…不安になるよね……。
いつもそれが原因で、白は辛い別れを味わってきたんだから……。
なのに俺は、ヤキモチやいてる白が見たくて、意地悪な質問して……白の気持ち、全く考えてあげられなかった。
「ゴメンね、白。意地悪な質問して、本当にゴメン。
でも安心して。俺、ちゃんと断ったから」
「…、どうして……」
「俺には白がいるもん。白より綺麗な人なんて絶対いない。
それに俺……白のこと、大好きだから」
「……っ…、ぅ…」
「だから俺のこと、信じてだいじょーぶだよ。
俺はずーっと白のそばにいるんだから」
ぎゅうっと、遠慮なしに白の体を抱きしめる。
白は返事をする代わりにこくんと頷き、強く抱きしめかえしてきた。
新緑で染まる山で、二人きり。
蝉の声、夏風で揺れる木々のざわめき、白のあたたかな鼓動が胸に響き渡る。
……こんな幸せな時間が、ずっと続きますように。
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