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ちぎり、ちぎり(18/21)
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「我の為に死んでくれ」
そう告げると、達希は目の端から涙をこぼした。
恐怖からか…?いや、違う。
達也は片腕を上げると、我の鼻面を撫でた。
「……いいよ。俺の命、白にあげる」
「……!?」
笑顔でそう口にした達希。
予想外の反応に、思わずたじろいでしまった。
達希は優しい手つきで、我の瞳に浮かぶ涙を拭いとる。
やめろ……そんな優しい表情で我を見るな…触るな……!
耐えきれず、唸り声をあげその手にガブリと噛みついた。
噛み傷から流れ出した血が腕を伝い、達希の服の袖口を赤に染めていく。
「……っ、白……」
「我は白ではない……!」
「…白」
「呼ぶなと言ってるだろう、小僧!次は喉元を食いちぎるぞ!!」
今でも襲い掛からんばかりに口を大きく開け、赤い舌と鋭い牙を見せつける。
だが、達希は一切動揺を見せず、我のことをじっと見上げていた。
「どうしても……君に伝えたいことがあるんだ。お願い、聞いて」
「貴様なぞの話、聞く価値もない!黙れ!」
「嫌だ。聞いて」
「うるさい…っ、喰い殺すぞ!」
「いいから黙って聞け!白!!」
「……!?」
初めてだ。達希の鋭い口調を初めて耳にした。
驚きのあまり、圧倒されて息を飲んだ。
「……俺は今でも白を愛してる。だから、泣かないで。悲しまないで。…笑うんだ」
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