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別れ・想い人に懸けるもの(7/16)
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「"達希……!聞こえているなら返事をするんだ!今どこに居るんだ…!?"」
「…………ばーちゃん家」
「"ばあさんの家?そこにいるんだな?"」
「ううん……ばーちゃん家の近くの裏山に…いる」
「"……小祠があるところか?"」
「うん……」
「"今父さんが迎えに行く。達希、お前はそこで待ってるんだ。いいな?"」
相槌を打ち、電話を切る。
脱力して座り込むと、白が俺のそばに寄りそってきた。
「大丈夫か…達希」
「どうして……、どうしてだよ、白…!今ここを離れたら、二度と戻ってこれないのに……もう白と会えなくなるのに…、どうして……っ」
「……案ずるな…。きっと、大丈夫だ」
「何が大丈夫なんだよ…!白の馬鹿…っ」
咽び泣きながら、白の体毛に顔をうずめてギュウッとしがみつく。
離れたくない……離したくない。
「諦めるな……達希。愛する者達に必死に看病されたら、きっと病は治る」
「治んないよ……っ、もう手遅れなんだって言ったろ!」
「…例え治らなくとも、沢山の人々の愛に囲まれながら逝くことが出来るだろう?」
「何だよ……それ。白は?俺がここを離れて死んじゃったら、白はまた一人ぼっちになるんだよ?白が寂しい気持ちになるのは嫌だ……!」
「……ならば、帰ってこい」
白の言葉に、思わず目を丸くしてしまう。
帰ってこい……?死ぬのに、どうやって?
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