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4日常
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僕、白石さつきは自他共に認めるいじめられっ子。
そんな僕の一日は、自分の下駄箱に上履きが無いという既に見慣れた光景を見ることから始まる。毎回毎回よくやるなぁと思う。大抵教室かゴミ捨て場のどちらかにあるのだが、毎朝僕がくる前にわざわざ隠しているのかと考えると暇なのかな……。
高校3年生にもなってこんな幼稚なことをする人がいるのも、この時期にそんな暇があるのも、うちの高校がこの辺りでは有名なバカ高で受験組がほぼいないからなのは考えなくてもわかる。
(ゴミ捨て場いくの面倒だから教室にあるといいなぁ)
なんて呑気に思える余裕も最近できた。
もうあと1分で1時間目が始まるという時間にペタペタと靴下で廊下を歩く。この時間の中央階段は派手な不良たちで溢れかえっているため、校舎東側にある狭い階段を使う。底辺校の割には校舎は綺麗と言われている我が校だが、東側だけまだ工事されておらず昔のままで薄汚い。そのためこっち側はあまり人が集まらなくて静かなのだ。
そんなことを考えながら教室のある3階まで登る。それと同時にチャイムが鳴り響いた。だが焦ることなんて何もない。どうせ今日の1時間目は古文の授業だから、五分過ぎないと先生が来ない事は知っているのだ。それに早く行くと周りの席の不良たちにちょっかいを出されるので遅刻くらいがちょうどいい。
空き教室の多い東棟を抜けてコの字に曲がって中央棟に入ってすぐの角の教室が僕のクラス。ゆっくり歩いてきたおかげで先生はもうきている様だ。不良たちが遊んでいるのをやる気なく注意する声がかすかに聞こえる。
騒ぎに紛れて教室に入ってしまおう、と僕は微かに開いていた後ろ側の引き扉を静かに開けた。
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