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伊佐敷純と滝川クリス優は、残業のあと会社近くの定食屋で、夕飯を食べながらビールを引っ掛けていた。
店のテレビは、プロ野球中継を流していた。
試合が終わり、ヒーローインタビューが始まるところだ。
「お」
純が嬉しそうに声を上げる。
お立ち台に立っているのは、2人の恋人である御幸一也と沢村栄純だったからだ。
「スゲーな!高校時代のバッテリーが揃ってお立ち台かよ!……ま、今は御幸はキャッチャーじゃ無いけどよ」
「センターでスタメンが定着したな……だが、あいつは諦めてないんだろう?」
クリスが純に尋ねる。
純は軽く頷いて、
「ああ。絶対またキャッチャーをやる、とさ。
スコアブックが愛読書なのも、高校ン時と一緒だ」
と、答える。
「それにしても、オレ達が揃って、栄純たちのヒーローインタビューを見るのも妙な巡り合わせだな」
クリスの口調はいつもながら穏やかだが、画面の栄純を見る瞳は 、特に優しい。
「沢村のヤツ、ルーキーながらローテーションの一画か?大したもんだな。さすがクリスが付いてるだけあるな」
クリスと栄純は一緒に住んでいて、食事管理や身体のケアなどはクリスが見ている。
「栄純は大卒のルーキーだからな。身体は作ってきてたし……。
御幸はすっかりチームの中心選手として活躍しているな。頼もしくなった」
クリスが感心したように言う。
「高卒でプロ入りして、5年?6年めか?
ま、それ位やるだろ、御幸だし。
それより、何で沢村は高校でプロ入りしなかったんだ?ハナシはあっただろ?」
御幸が誉められると嬉しい純は、照れ隠しにビールを あおってクリスに質問する。
クリスは口元に微笑みを浮かべて、
「だって……少しは恋人としての時間が欲しいじゃないか……一緒に居たかったんだ」
と、純を見る。
「クリス!今日は正直だな~~気持ちは分かるぜ」
純が、口を開けて笑う。
「シーズン中なんか、一緒に暮らしてても顔を見ない日の方が多いもんな」
「だから伊佐敷は あんなに御幸を甘やかすのか?」
純と御幸の家に遊びに行った時の事を思い出して、クリスが茶化すように言う。
御幸の1学年後輩である栄純が、「かつての青道高校野球部キャプテンの姿とは思えない!」と呆れるくらい、御幸は純に頼りきっており、また、純も甲斐甲斐しく世話を焼いていたのだ。
「甘やかしてなんか ねーけどよ……オレで出来るコトなら、してやりたいじゃねーかよ……」
図星を指された純が、口の中でモゴモゴと呟く。
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