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第一章~高校2年生・春~
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*Side梁瀬
季節は春を迎えた。
1年間、長いようであっという間だったと思う。
体育祭も、文化祭も、修学旅行も、学校のイベントは全部楽しかったし、部活もとても楽しかった。
ウィンターカップで3年生は引退して、伊角先輩が新部長としてこの3カ月を過ごしてきた。
三送会は楽しくて、寂しくて、泣いてしまった。
千先輩がいなくなれば、俺は1人でマネージャーをしなくちゃいけなくて、不安もあったけど、今のところはまだ色んな人に助けられてどうにかなってる。
先輩達の卒業式が終わって1ヵ月、俺たちは2年生に進級した。
「クラス替え、不安…」
「大丈夫やって。どうにかなるもんやし。」
「……そうだといいんだけど。」
校内の1階の壁にずらーっと貼られる新しいクラス表。
2年が右側、3年が左側ってなってて、俺は久夜と1組から貼られた右側を見て歩く。
「結構後ろの組みたいやね。」
「うーん…あっ!あった!」
「あ、ほんまや。……にしても、これは…」
2年9組に俺と久夜の名前は書かれていた。
出席番号31番の久夜と、33番の俺。
間の32番には彼方の名前があった。
「廣川と氷野やと廣川のが後やった…完全に忘れとった。」
苦笑いしながら隣で呟いた久夜にそうだったね、と返した。
多分、もう大丈夫だと思う。
直接話すことはあんまりなかったけど、久夜とのことは半年前に認めてもらったわけだし…
「まっ、とりあえず教室行ってみるか。」
「うん。」
9組と書かれた隣に、教室番号が書かれてて、2人でその教室まで行った。
扉を開けて中に入ってみても、知ってる人はほとんどいない。
そりゃ10クラスあってそこからごちゃ混ぜになるわけだから、知らなくてもしょうがないんだけど。
やっと仲良くなれた人たちと離れて、また新しい友達を作らなきゃいけないと思うと、それが億劫だなって思ったり。
「あれ、羽桜と廣川。もしかして同じクラス?」
「谷地島!9組なの!?」
「そうだよ。俺1番最後。」
「とりあえず、安心やね。梁瀬。」
「うん!!」
自分の名前を見つけて、その上に彼方と久夜の名前があって、下を見ていなかった。
谷地島がいるなら心強い。
去年1年間で仲良くなれて、修学旅行の後なんかは3人でいることも増えた。
また同じクラスになれたのは嬉しい。
「入り口で立ち止まるな。邪魔。」
「ごめん!あっ…、彼方……」
「…まさか同じクラスになるなんて思わなかった。…お前も。」
「せやね。俺も思っとらんかったよ。」
彼方に言われて、教室の中に入る。
廊下側1番前に久夜、後ろに彼方、俺、1つ空けて谷地島の席順。
前に彼方がいる...懐かしい。
小中の頃は同じクラスになればほぼ必ず彼方が前だった。
まさかこんな形になるとは思ってなかったけど。
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