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僕の恋したわけ
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んん〜〜?
涼しい…。
なんだか、倒れた気もするけれど、多分、夢なんだろうな。
もうすぐ、学校なもんだから夢を見たらしい。夏休みが終わって初めての学校の始業式でぶっ倒れちゃう夢。なんて縁起の悪い夢なんだろう。あー、いやだいやだ。今何時なんだろう。もうすぐ学校なんだから、そろそろ生活習慣整えるようにしなくちゃなぁ。えーと、ケータイケータイ。頭の上にポイと放り投げたままであるはずのケータイを半分寝たまま探す。あれ?ないなあ。
ケータイを探すうちに、目は閉じているものの脳は段々覚醒していく。と同時にツン、と鼻に痛い刺激臭が。僕の部屋、こんな変な匂いしない!こんな、消毒液見たいな…!って、え?消毒液?
ガバッと起き上がれば、見覚えのある景色。これは紛れもなく学校の保健室…!!じゃあ、僕、本当に倒れ…。
ん…、
小さく声がする。なんだか、布団が少し重い。横に目を向ければ、椅子に座ってから僕の寝ている布団にうつ伏せになっている氷崎くんの姿だった。なんで、氷崎くんが?疑問が頭の中を駆け巡る。が、どうしたって正解は出そうにない。
おきて。おきて、氷崎くん。
声を掛けてみるも、氷崎くんは起きない。今度は体に触れて揺らしてみるも、まだ起きない。どうしよう。きっと僕倒れた時に何かしちゃったんだよね。じゃないと、僕なんかを待ってるはずがない。クーラーの風に吹かれて、氷崎くんの髪が少し揺れた。ほぼ無意識に、その頭に手を伸ばす。サラサラだ。体を揺すっても起きなかったんだ。頭を撫でたくらいじゃ、起きないよね。勝手にそう判断して髪に指を通し続ける。
ジャッ!ベッドを仕切るカーテンが開かれた音にびっくりしつつ、氷崎くんの頭からさっと手を離す。触ってません。僕は無実です。そんな顔をしながら開いたカーテンの方を見る。ええと、彼は…。
あ、羽山くん起きた?ぶっ倒れてびっくりしたよー!
松崎 久遠(マツザキ クオン)。氷崎くんの幼馴染だ。幼馴染なんだけど、2人の間にはなんだか幼馴染以上のものがある気がする。というより、明らかにあるんだけど。絡むことのない僕でも知ってるくらいには。というのも、松崎くんは僕の知る限り、氷崎くん以外には名前を呼ばせない。人に名前を呼ばれることをひどく嫌がるのだ。クオン、とそう呼ぶのはこの学校ではただ1人、氷崎くんだけだ。
涼、羽山くん起きるまで待つって聞かなくてさあー。もう起きたし、いいよね?って、今度は涼が寝てるの?
あ、起こした、んだけど…起きなくて、
涼、中々起きないんだよね
そっか。その一言が出ない。なんだか、どうすればいいかわからなくなって、松崎くんから一瞬目を離した。視界の隅に、氷崎くんのサラサラが映る。嗚呼、綺麗だなあ。苦しかったどこがが、すーっと晴れていく。なんだか軽くなった心に僕は不思議に思いつつも、やっと、松崎くんにそうなんだ、と返事をすることができた。
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