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そのに。
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「はやまー!」
その声にハッとケータイから顔を上げた。ジリジリと太陽に焦がされていた僕の背中が熱い。氷崎くんだ。大きく手を振る氷崎くんに慌てて手を振り返しながら、僕は立ち上がった。ああ、あつい。
「おはよ!ごめん、俺来るの遅かったよな?俺から誘っといて!」
ケータイを仕舞ってしまった僕は上のアンティーク調の時計を指差した。
「まだ、45分だよ。15分も早く来てくれて、嬉しい」
言葉の通りだった。僕がバカみたいに30分も前に着いただけなのだ。15分前だって十二分に早い。にこ、と笑って氷崎くんを見つめる。
かっこいい。
ジーンズにパーカー。それと黒の上着。全体的に纏まってて、シンプルなのに、似合うって凄い。かっこいい人しか似合わなさそう。もう、僕の語彙力のせいだ、かっこいい以外言えない。
「…かっこい、」
「え!?あ、ありがとう…羽山も、その、えーと、可愛いな」
また、ポロっと漏れてたらしく、それに対して氷崎くんが返事をする。え、え、可愛い、て、え。顔に熱が集まった。真っ赤に染まってるのが自分でもわかる。何か言わなくちゃ、と思うけど何も言えない。ぱくぱく、あわあわ、と口を動かすだけで声が出ない。
「ちょ、羽山、そんな照れんなよ!俺が恥ずかしい!」
もう行くぞ!と、氷崎くんが先に歩き出す。制服とは違うその後ろ姿に、僕は少しドキドキしながら、追いかけたのだった。
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