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そうして今くぅくぅと寝息を立てながら眠っているのだが、不意に一人の男がそれを偶然見つけた。男は黒髪にメッシュの入った、もちろん不良であったが、かなりの美形であることが窺える。
偶然居合わせた男は、宮緒を見て不思議そうに眉を潜める。傍から見れば不機嫌そうに見えるその表情。その原因は恐らく整いすぎた顔立ちによる威圧感と、元々切れ長で鋭い目付きのせいだろう。男は少々音を立てながら宮緒に近づいた。
しかし、普通ならすぐに目を開けるだろうその距離であるのに、一向に宮緒は目を醒まそうとしない。教室ではないため少し警戒心は薄らいでいるものの、普段ならすぐに目を開けるはずだ。
男はそんな事も露知らず暫し宮緒を観察する。丸まって眠る宮緒は、恐らくクラスメイトもあまり知らないだろう寝顔を晒している。平凡ではあるが、パーツの一つ一つは整っていて、見様によれば綺麗に見えなくもない。薄く開いた桜色の唇から漏れる寝息はとても可愛らしい。そんな穏やかな寝顔に、思わず男はしゃがみ込み髪を撫でていた。
男を知っている者がいたのなら、その様子は卒倒ものである。何故かというと男、真瀬新(まなせあらた)は此処、悪魔高のTOPなのであった。
しばらく新はそうして宮緒の頭を撫でていた。染まることの知らない黒髪は、予想以上に柔らかく心地良い。ふと手を止めて、眠る宮緒につられたのか新は小さく欠伸を漏らした。
そのままゴロリと宮緒の横に寝そべり、宮緒を抱えるような体勢で目を閉じる。すぐに襲ってきた眠気に抗うことなく、新は眠りの世界へと旅立ったのだった。
そうして新が寝入ってから数十分後、宮緒はもそりと身動ぎした。なんとなく暖かいものに包まれているような、そんな気がして、それを不思議に思いながら目を開ける。
「………」
いきなりの美形のどアップに宮緒は思わず無言になった。否、もとよりそれほど口達者ではないのだが。驚きに目を瞬かせる。もそり、とまた身動ぎすれば、何故か新に抱き寄せられた。
「…まだ寝てろ」
片手は腰に回され、もう片方の手でポンと頭を撫でられる。
「………」
また静かに寝息を立て始めた新をじっと見つめたあと、釣られるように目を伏せた。無意識のうちに頭を新の胸に押し付けながらゆっくりと眠りについたのだった。
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