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一人の美形な不良と一人の猫目な平凡少年が見つめ合う姿は、やはり不思議な(というよりかは異様な、かもしれない)光景である。気まずいような、気まずくないような二人の間にある奇妙な空気を壊したのは宮緒だった。
―――ぐぅ。
否、正確には宮緒の「腹の虫」であった。新はそういえば昼だったな、と思い出す。流石の宮緒も恥ずかしさに僅かに頬を朱に染めた。
「飯食うか」
「…うん」
そんな宮緒を内心「可愛い」などと悶えながらも、新は表には出さず昼食に誘った。素直に頷いた宮緒はその場に座り込んだ。いつの間にか手放してしまっていた弁当の安否を確認する。垂直に落下したせいか、案外大丈夫そうだ。
新も宮緒の隣に座り、購買で買っておいたパンを取り出した。もきゅもきゅと宮緒は弁当を口に運びながらチラリと新を見やった。空を見上げている横顔を観察する。それこそぼんやりと綺麗だなぁ、と思う。
ふと新の唇に目線が行き無意識の内に自分の唇に指で触れた。キスされた感触が甦ってきて、そういえばファーストキス…と呟いた。宮緒の呟きを拾った新はそれはそれは綺麗に笑んだ。
「ごちそうさま」
その意味が分からなくて宮緒は考え込む。少しの間逡巡して思い至り、唐突に行動に移す。クイ、と新の制服の裾を引いてこちらを見たその顔に自分の顔を近づけた。
―――チュ、
可愛らしい音を立てて宮緒は潔く離れた。新は何が起こったのか把握出来ないままただ驚いていた。そんな新に「仕返し」とばかりに宮緒もまた、普段使わない表情筋を精一杯使って笑う。
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