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いつからか始まった、夏生の異常性を現した愛情表現。
痛い事も傷が残るような事もしないのに、ひどく悲痛に泣き叫ぶ夏生を私は抱きしめながら必死になだめる。
「なんで!なんでなんでなんでなんでなんでなんで、なんでなの、渚!!」
「ごめんね…でも、今日は、もう無理だから…」
「ずっとずっと渚に触っていたいのに、だめなの?なんで?渚は僕のなんでしょ!?」
バンッと乱暴に蹴られたドアは、ヒビが入っていないか心配になる強さだったけれどそんな物を見ている暇がないぐらい目の前の夏生はおかしくなっていた。
時々、ある。
些細な事で夏生のこのおかしなスイッチは入ってしまう。
今日はただ情事の誘いを断ったから。
基本的に夏生は僕の気持ちは考えない。
僕自身も自分の気持ちがよくわからないので、夏生の強引さを嫌だと感じた事はなかった。
でも今、この話については別。
「昨日の夜もやったのに、夏生……本当にごめんね。でも今日は、ちょっと立てないし、無理…」
「立たなくていいの!渚は僕に任せてくれてたら良いだけなんだから。ねえ、お願い渚。」
「なつお…」
「でも、どうしても無理って言うなら、」
そっとベッドに横たわる僕の額を撫でて、どんな宝物を見ているんだろうってぐらい極上の表情のまま口づける。
チュッとリップ音が聴こえて、少しだけ体温が額から離れると夏生は何か我慢している表情で耐えながら僕の何も纏っていない腰を抱き寄せながら胸にすり寄る。
「だったら、渚に抱きついているのは許してくれる?」
「うん。ぼく…私も夏生に抱きしめられていたい」
「ふふふっ。渚は可愛いね」
「ありがとう」
黒くて長い私の髪が、真っ白なベッドシーツに散らばるように広がる。
少し動くだけで鈍く肢体は痛むけれど、それよりも少し我慢をしてくれた夏生の為に身体をぎこちなく動かした。
ああ、もしも腕が取れていたなら。
ああ、もしも足が取れていたなら。
「ずっと、傍にいてね」
「夏生がわたしを離さないのなら」
人形のようにあなたに飼われていたい。
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