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片山夏生は物書きで、社会的にはそこそこ人気があるんだよなんて当事者である本人から聞かされては静かに心の中で疑問を募らせる事しかできない。
夏生は私に自分の本を読ませる事をしなかったし、私は私で自分から何かをしたいとあまり夏生に要望しないから。これについては夏生は不満らしく、いつでも「何が欲しいの?」と横にすり寄るたびに声をかける。
だって私は無駄使いは好きじゃない。
「これ、なに」
「んー」
のんびり間延びした声で私を見上げる夏生は床に直接座りながら、手でよく分からない大量のパーツをいじっていた。
資料だと言って買い集めるには多すぎるそれは、俗に言う『トレーニングマシーン』と呼ばれるもので私はただぼんやり組み立てていく夏生の指先を見つめる。
夏生の頭が動くと、つられて金色の髪が太陽の光に透けてキラキラと綺麗に輝く。
なんだか夏生とこうやってのんびりと過ごすのは久しぶりかもしれない、と黒髪が床につくのも気にせず私はハーフパンツから出る足を抱え込むように床にぺちゃりと座り込んだ。
夏生と視線が近くなって、こちらを向く夏生に首を傾げてみせる。
「渚は必要なさそうだよね」
ポイッと持っていたマシンのパーツを放り出して、四つん這いで近づいてきた夏生に腕をとられる。
ふにふにと両手で腕の筋肉を確かめられてるのを感じながら抱えた膝に顔を埋めると、自然と私の視線も夏生の晒されている腕へ向く。
黒いタンクトップの上に羽織っている白いシャツを曲げている夏生は、そこから伸びる腕は私みたいに陽にあたらない白さではないものの元からの白さがうかがえた。
「夏生は?」
「え?使うかってこと?」
「…うん」
「どうしようかな」
私の腕を離した夏生の腕に、そっと指を這わせる。
私よりもしっかりした男性らしい腕、つっついたり指で押してみたり少し撫でてみたり、遊んでいるとそれに夢中になっていた私が面白くなかったのか夏生はそのまま首を擡げて私の肩に額をあてた。
スンと音がして、耳元で笑う声が聞こえると一緒にはかれる息が首元を掠めてこそばい。
「なつお……ど、したの」
「んーん。渚、かわいい」
「可愛くないよ…」
「世界で1番可愛いよ、渚。ねえ、キスして?」
拗ねた時のように尖らせた夏生は「んー」と言いながら目を閉じて、いつもは自分から聞く前に唇を塞ぐくせにと思いながらも垂れた黒髪を耳にかけながら私は目を閉じる夏生の唇にそっと顔を寄せた。
金色がふわりと風に靡くのを一瞬、視界の端にとらえてピタリと動きを止めれば夏生が不思議そうに片目だけを開いてぼんやりと止まる私の首に腕をまわして強引に顔を寄せて、そのまま唇を触れさせた。
「渚、俺の目以外は見ないで?」
「そん…無茶、だよ…っ」
お互いの口内に酸素が無くなるように、苦しくなるようなキスは止むことはなく夏生が満足そうに口の端を舐めて微笑むまで私は渚の胸の中で必死にそれを受けていた。
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