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突然現れたフード姿の若い男。
陰影を落とすそれが余計に薄紫の瞳を神秘的に魅せていた。
「君は… うわ!」
唐突に襟首を掴まれて、勢いよく後ろへと引っ張られる。
「ゲホッ…何す…」
……え?
咳き込みながら見ると、先程まで自分がいた場所の地面が抉(えぐ)り取られていた。
彼に助けられていなければ今頃どうなっていたか。
考えただけでも恐ろしい。
「やっと見つけたぞ。馬鹿みたいに結界を動かしてくれたお陰で見つけやすかったわ」
「わあ、久しぶりだねぇ。
だぁってそこのお兄さんが逃げるんだもん。まあ、それはもうどうでもいいや。
元気だったー?
前に君に殺されてからだから…一世紀ぶりかな?
見たところ今度は同じタイミングだったみたいだね。何百年ぶり?君と年が近いなんて」
男は饒舌に彼に話しかけ始める。
どうやら彼らは知り合いのようだが…
前に殺されてから。男が言った台詞に首を傾げる。
しかし、気になったけれど聞ける雰囲気ではない事は明白で、固唾をのんだ。
「感謝してるんだよぉ?毎度毎度飽きずに探してくれて」
「は、お主を潰(つい)えさせる事こそがワシの責務。その軽口も今生までよ。
…そろそろ焦っておるのではないか?今度こそワシに殺されればお主は終いじゃ」
彼の挑発めいた言葉に、愉悦に歪んでいた男の表情が消えた。
代わりに赤々と揺らめいていた瞳が段々と濁っていく。
「…そうだね。でも君も後一回でしょ?」
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