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目の前で繰り広げられているこれは、本当に現実なのだろうか──。
次々と襲い来る攻撃を彼はまるで猫のようにしなやかな動きで交わしていく。
そして握った左手の人差し指と中指を立てて、何かを唱えては分岐して襲い来る物体を弾けさせていた。
だが、男が操っている蠢く物体はいくら攻撃しても、また元に戻ってしまう。
これでは埒が明かない。
そう思った瞬間、彼の動きが止まった。
それまでよりも長く力強く何かを唱えている。
そして懐から紙の束のような物を取り出すと、蠢く物体へ向けてそれらを投げた。
まるで一つ一つが意志を持ったように、真っ直ぐに飛んでいく無数の紙片がボウッと薄紫の炎を帯びる。
蠢く物体は形を変え、それらを捕らえようとするが、紙片はそれよりも速い動きで飛び回る。
攻撃の手を掻い潜り、蠢く物体に次々と貼り付いていく。
「…*****、消滅せよ!」
彼がそう叫んだ瞬間、蠢く物体は一瞬にして薄紫の炎に包まれた。
ゆらりゆらりと蠢く物体は、俺には何故か苦しんでいるように見えた。
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