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「まーた地盤沈下か」
「最近多いですねぇ」
「そう…ですね」
画面にはぽっかりと空いた大きな穴が映し出されている。
それが頻繁に報道され始めたのはここ一週間の事。
そして、起き始めたのは丁度1ヶ月前だった。
そう、1ヶ月前のあの日。
あの晩の事があった翌日、それは初めて報じられた。
だが、そのニュースを見て俺は愕然とした。
地盤沈下があったとされていたその場所は、俺があの赤眼の男に襲われた場所だったのだ。
あの男が空けた大穴は、只の地盤沈下だと報じられていた。
おかしい。そんなはずはない。
あれはどう見ても誰かが故意的にやったものだ。
調べれば分かるはず。決して只の現象ではない。
…そう言いたかったが、直ぐにそれは出来ない事だと気付いた。
あれは得体の知れない物体を操っていた男が犯人なのだと、そう主張したところで一体誰がそんな話を信じてくれるというのか。
『今日の事は他言は無用じゃ。したくばしても良いがな』
彼が去り際に俺に告げた言葉。
どうして、あんな曖昧な忠告をしたのか。
…彼はこれが判っていたのだ。
誰も信じないぞ、と。
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