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赤眼の男とおぞましく蠢く物体。
不自然なまでに大きく、近くに浮かんでいた赤い月。
行けども行けども、誰もいない住宅街。
──そして、あの薄紫の瞳の彼。
彼は一体何者なのだろう?
彼が現れた時、赤眼の男はまるで旧友に会った時のように喜び、語りかけていた。
それに彼らが言っていた気になる言葉の数々。
思い出せる限りを並べる。
結界、前に殺されてから、一世紀ぶり。
まるで漫画に出てきそうなキャラクター達のやり取りを見ているようだった。
それこそまさに非現実的な話だと思うが。
「どうした久住」
「へ!? な、何ですか?」
考え込み過ぎて、山田さんの呼び掛けに完全に気づいていなかった。
「大丈夫かい?」
「すみません、ちょっとボーッとしてました。それで、何の話ですか?」
「ああ、いやね、最近行方不明の人もいるってちらほら聞くでしょう?」
今、この街の至る所で多発している地盤沈下。
その影に隠れるように行方不明者が出ているというニュースも流れていた。
「それがまるで『神隠し』みたいだって、山田さんと話してたんですよ」
「神隠し?」
「行方不明になったいる人達の共通点は何もないらしいしな。そんな素振りを見せなかった人がいきなり居なくなったんだ。そうも考えるだろう」
「はあ…神隠し、ですか」
今一、俺がピンときていないと思ったのだろう。
山田さんの太い眉がピクリと上がった。
「まあ、最近の若いもんにはこういう話は通じなくなったからな」
「仕方ないですよ。時代の流れとはそういうものですって」
「悲しいねぇ」
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