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「!!」
それはもう何の前触れもなかった。
あまりの唐突な登場に何度も目を瞬く。
自分の腕を枕にして横になっているその人を、数匹の猫が取り囲んでいる。
眠っているらしく目は閉じられていて、今時の若者らしいフード付きのパーカーを着ていた。
えええええ?? いま誰もいなかったよね!?
若干パニックになるも、目にしたその人の顔を見て、直ぐにそれが誰なのか気が付いた。
「あ、あああああ!!!」
『彼』だった。
思いも寄らない再会にこれでもかと目を見開いてビシリと指を指す。
「………ぅ…」
俺の声に反応したのか、ピクリと動いたと思ったが
「……やかましい」
地を這うような低い声。瞬間、彼の周囲にいた猫たちが一斉に飛びかかってきた。
「…何じゃ、騒々しい…」
起こされたのが相当に気にくわなかったのか、想像以上に不機嫌な声を発し、起き上がる。
そして、直ぐに俺と目が合わさったかと思うと冷ややかな視線を向けられた。
俺はその薄紫色の瞳を見て、やはり件の彼だと確信した。
「…誰じゃお主」
え、忘れられてる!?
その事もかなりのショックだったが、しかし、そこかしこから伝わってくるモフモフな毛触りと温もりがそれ以上に宗介の頭をお花畑に変えていく。
頭、肩、腹に脚の上。
身体の至る所に乗っている猫たち。
うわあ…っ、やばい、幸せ過ぎるー…!!
これこそ本当に夢ではなかろうか。
もう死んでも良いかもしれない。
本気でそう思った瞬間だった。
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