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「いや流石にそれくらい分かるよ!?」
「何も言うておらんじゃろう…」
「目が言ってるよ!」
「続けるぞ」
「あ、はい」
睨まれ、文句もそこそこに黙らせられる。
「生前に犯した様々な罪で魂は裁かれるが、六道は主に輪廻の輪を用いて魂をこの世へと『転生』させる事を役目としておる。
魂は輪廻の輪によってあの世からこの世へと顕現し、肉体を得る事で生を受ける。
そして、己の生を全うし、寿命を迎えた肉体から離れた魂はあの世へと還り、また輪廻の輪に乗って再びこの世のどこかに生を受ける」
「それが…輪廻転生?」
「そうじゃ。ここで言うあの世へと渡る事をお主らの認識で言えば『成仏』に当たる。
そうじゃな…例えるならばこちらの世には『観覧車』というものがあるじゃろう。
大きさは比べ物にもならんが…巡る間、その魂の次の生が検討される。
そうして、時が来た魂はこの世へと送られるのじゃ」
「へぇー…なんか、凄いね」
「凄い…?」
「だって、その働きがなかったらこの世界に生き物が生まれないって事でしょ?
俺、昔からあんまりツイてなくて職も転々としてるし、神様の下で働けるなんて羨ましいなぁと思って」
「……………」
「八代君?」
「そんな良いものではない…」
「え? ごめん、よく聞こえなかったんだけど…今なんて言ったの?」
「何も言っておらんわ」
「むぐ…っ」
顔を見ようとすると、八代君はずっと膝の上に乗せていた猫の腹を俺の顔に押しつけてきた。
「足が痺れた。お主が持っておれ」
「え!良いの!?」
ああ~お腹の毛がモフモフだ~
幸せに浸る隣で、八代君が一瞬悲しそうに顔を歪めた事に俺は気付いていなかった。
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