アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
「――…よし、だいぶ治ってきたかな」
少し動かしたりして、回復具合を確かめる。
包帯は取れたが、八代君の命令もとい指示もあり、念のためまだガーゼをしている。
「今日も遅いのかな…」
そんな八代君はというと、あの日から毎晩どこかへ出かけては朝方に帰ってくるという行動を繰り返していた。
そして、相変わらず俺は外出を禁じられ続けていた。
不思議なことに生活に必要なものはいつの間にか補充されているし、玄関に近付くだけで彼が『見張り』として置いて行っている猫たちに行く手を阻まれる。
仕事を休むなら連絡を入れたいと言ったが、二人の事を案じるならするなと言われたし。
せめて一体何をしているのか、いつまで居ればいいのか聞ければ良いのだが。
帰ってきたら帰ってきたで直ぐ寝ちゃうしなあ…
部屋の隅の方で、丸くなって眠るのだ。猫さながらの寝方に悶えない訳ではないが、いくら布団を薦めても「要らん」と一言でバッサリ。
ああ、でもダメ元で作り置きしてみたご飯は食べてくれているようだ。起きたら綺麗に無くなっているどころかちゃんと洗ってまである。
日中は眠り、日が落ちた頃に起きて、出掛けていく。
欲を言えば、もう少し彼と話したい。
けれど、彼は自分とは違う境遇の持ち主だ。俺には話せない事情があるのかもしれない。
そう考えたら、どうしても聞けなかった。
「ご飯作って、行ってらっしゃいって、言うくらいしか出来ないんだよなぁ…」
誰かのためにご飯を作るなんて、何年ぶりだろう。
「一緒に、食べたいなー…」
こうして、今日も夜は更けていく。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
51 / 87