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茜色に染まる空をカラスが数羽連なって飛んでいく。
これから自分の寝床に帰るのだろうか。一緒にいるのは友達なのだろうか。
そんな事を考えながら、俺はその様を窓辺から眺めていた。
八代君は帰ってくるなり、少し出てくると言ってどこか出掛けていったきり、まだ帰ってきていない。
『あの二人に、お主に関する記憶は無い』
あの時、八代君は俺にそう告げた。
「ど、どういう…」
「言葉の通りじゃ」
「そんな事いきなり言われても信じられる訳…!」
「ならば、着いてくるが良い」
納得なんて、信じられる訳ないって思ってた。
何か悪い冗談で、やっぱり嘘でしたって。…そう、心のどこかで期待してたんだ
「そこの御仁」
「はい?」
「少し尋ねたいのだが…」
吉田さんに声をかける八代君。
「ここは広いですからね。どこに行きたいんですか?」
優しく受け答えする吉田さん。
…だけど、八代君のすぐ後ろに立つ俺には目もくれようとしない。
大丈夫…きっと気付いてないだけだ。目が合えばきっと…
「おや、君は…」
「! あ、あの…」
大丈夫ですか、と
そう言うつもりだったんだ。
「お兄さんですか?」
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