アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
14
-
…………え? 今、なん、て?
俺に兄弟なんていない事は知っているはずなのに
目の前にはいつもと変わらない二人がいて、いつもみたいに「おはよう」って「いつまで休んでるんだ」って、笑い掛けてくれて…心配してくれて…
そんな日常だったはずなのに。
嘘だ…こんなの、嘘だ
「そうだ。方向音痴な兄で困っている」
「そうですか。仲の良い兄弟なんですね」
「あ、の…吉――」
「行くぞ。宗介」
「え、あ…」
八代君に手を引かれるままに遠ざかっていく吉田さんは、最後まで笑顔で手を振っていた。
「…何で」
「…………」
「ねえ、何で…?」
「だから言うたじゃろう。悪い事は言わんと」
ショッピングモールを出てからも、先行く八代君に繋がれている手はそのままに歩いて、家へと帰った。
その間、俺は「何で」「どうして」と上の空で
責めるように問い続けるしか出来なかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
60 / 87