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「己だけしか浄化しないはずのお主の魂が何故こやつも浄化したのか…ワシにも分からん。ただ、あの時には既にもう一度顕現させられる程には浄化されておった」
「じゃあ、なんでその時俺に『やる』なんて言ったの?」
使い捨てなくても良い程の状態だったのならば、尚更どうしてそう言ったのかが分からない。
だけど、返ってきた理由は意外なものだった。
「…そやつが言ったのじゃ。今しばらくお主の傍にいたいと」
「え?」
「ワシが使役しておる猫達は、元はこの世に生きておった者達じゃ。
して、どうやらそやつは生前お主に恩があったようじゃな」
恩? 何かしたっけ…?
「猫には魔を払う――つまり厄除けの力がある。ワシが顕現させずとも、雑魚霊を退けるくらいの力はある。お主の傍にいて、恩返ししたいとそやつが望んだのじゃ」
だから俺に「やる」と言ったのだと八代君は言った。
今日、久しぶりに、やたらと不運に見舞われたのはこの仔を持っていなかったからだと今更ながらに気が付いた。
「そっか…。君のお陰だったんだね。ありがとう」
スリスリと顔を俺の膝に擦り付ける猫の頭を撫でると、嬉しそうに鳴いた。
「宗介」
「何?」
不意に呼ばれた名に、猫に向けていた視線を戻すと
八代君は真剣な表情をしていた。
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