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過ぎ去る、秋 プロローグ
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ふふ、ふふふふふ
不気味な笑い声が響く。
「あー。面白い。面白い。良い物を、見つけた。見付けたよ」
真っ暗な場所で、不気味な声が響く。
「田村は本当にイラついた。イラついたから、アイツの愛した女を殺した。殺してやったら、出てくるかと思ったのに」
どこから響いているのか、わからない。それほど真っ暗な場所。
「この僕が、しばらく力を封印されるなんて。本当にイライラしたよ」
苛立たし気に、声は荒れる。
「力の使えない間、考えて考えた。実行に移した時に、あの女には子どもがいたんだけどなぁ」
その子どもの居場所を突き止められなくて、さらにイライラしたよ、と。
表に出てこないくせに、子どもは守るのかい。本当、馬鹿げているよ。
そんなに大事なら、一緒にいれば良いものを。
そうしたら、あの女を殺すところをアイツに見せれた。見せつけられた。
お前は何も守れないんだと、突きつけられたのに。
ふふ、ふふふふふふ
「でも、あの子どもを探して、本当に良い物が手に入ったから、どうでも良いや」
あー、本当に面白い。
人間と言うのは、本当に、面白い。
やっかいな中条の人間がいたけれど、そこは僕の力の呪縛でどうにでもできた。
アレは今頃自分がどうなるかわからなくて、怯えているだろう。
それを考えるだけで、田村や中条に受けた傷の痛みなど、忘れられる。
あー、でも、その田村と中条のせいで、この器が使い物にならなくなったのだけど。
この器は、気に入っていた。
僕の力を最大限に引き出せる、良い器だった。
でも、もういらない。
使い物にならない器は、もういらない。
新しい器が、手に入ったし。
後は、僕の力の蓄積が終わるのを待てば良い。
そして、あの器を、僕に合うように調整すれば良い。
あは、あははははは
「笑いが耐えきれないよ」
田村と中条と、あの子ども。
次の標的はドイツにしようか。
どうせ、田村は表に出てこない。出てこないで、こちらの出方を待っている。
ならば、中条とあの子どもに絞ろうか。
中条とあの子どもは一緒にいた。
アレも、一緒にいた人間の一人。
どう思うだろうね。仲間だと思っていた人間に、攻撃されたら。
あは、あははははは
先のことを考えれば、考えるほど、笑いが込み上げて仕方ない。
面白いだろう。こんな面白いこと、そうそうないよ。
ここずっと、こんな面白いことはなかった。
「あぁ、楽しい。楽しいよ」
さぁ、どうやったら良い演出が、出来るかな。
手始めに、まずはアレの居場所を少しだけ教えてやるか。
血眼になって探すだろう。
けれど、そんな簡単には見付けさせてはやらない。
せっかく見付けた、新しい器だ。
返せと言われても、もう遅い。
アレはもう、僕の物だ。僕の器だ。
少しづつ、少しづつ、僕の力を注いでいる。
あと少し、あと少し。
ふふ、ふふふふふふ
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