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過ぎ去る、秋 エピローグ
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憎い、憎い、憎い
私の、僕の、俺の、体を返せ
何故、私は、僕は、俺は、ここで終わるのか
何故だ、何故だ、何故だ
こんなことのために、私は、僕は、俺は、産まれたのか
番う、違う、違う
これは、私の、僕の、俺の、記憶
君に託すよ、私の、僕の、俺の、力
ごめんね、ごめんな、ごめんなさい
力がなかったから、私は、僕は、俺は、あの男に敵わなかった
※
悲しい記憶が、秋人の心の中に流れてくる。
志半ばにして、あの男に体を奪われた者たちの、声。
自分も、その一人だ。
けれど、今までこの犠牲者たちの声に、気付いた者は、いなかったのだろう。
だから、蓄積された力が、残っている。
だから、俺はあきらめない。
この悲しい連鎖を、俺で終わらせる。
そう決意したから。
もう、犠牲は出させない。だから、俺とともに戦おう。
戦って、あの男に勝って、自由を取り戻そう。
体を奪われ、精神を乗っ取られ、輪廻から弾かれた犠牲者たち。
縛り付けられたまま、男の心の奥底に、眠っていた者たち。
呪いながら、自由への渇望をする、者たち。
これだけの、犠牲者を出して、平気で生きている、あの男。
自分の心の奥底で、これだけの怨嗟があることに、気付きもしない、あの男。
気付いていないことが、俺たちの戦いへの勝利のカギだ。
秋人の精神は、乗っ取られてはいない。俺は俺の意思が、意識がまだある。
蓄積された力を扱えるのは、その為。
自分自身の力を引き出せるのは、その為。
驕って、己の心の奥底を気にしない、あの男に勝てる見込みは、捨ててはいない。
戦う意思を、捨ててはいない。
それを、捨てたら、終わりだと。秋人は考える。
いままでの犠牲者たちと、同じように、俺も終わってしまう。
それだけは、避けたい。
何が何でも、俺で、この悲しい連鎖は終わらせる。
俺自身がどうなろうと、先のことは考えない。
ただ、仲間を、章を傷付けられる前に、終わらせられなかったことが、辛い。
復讐劇の幕開けだと、男は言っていた。
狙うのは勇か?正か?
それとも、勇の父親だろうか。
いずれにせよ、彼らは天野の外見が変わっていることを、知らない。
それが、少しの懸念にはなっているけれど。それでも、この禍々しいオーラを気付かないわけはないから。
大丈夫だ。簡単にやられる仲間じゃない。
秋人はそう言い聞かせる。
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