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高校だし 球技大会 ③
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滞りなく、午前中は競技が終了した。
危惧してたけんかとか有ったらどうしよう、と思っていたが。俺が慌てて本部に駆け込むなんてことは無かった。
何にも無きゃ無いで、報告は行ったけど。
巡回中の風紀委員とか、一年の実行委員たちからの報告も有ったし。
巡回中の風紀委員は、上級生ばっかだったけど。俺のことは知ってたらしい。だから、本部にこの報告持って行ってくれるかと、頼まれたりした。トランシーバー使うほど緊急性が無いから、って理由だろうな。と思って俺は素直にその報告に行ったりしたんだけど。
時々で、対応してくれる人が変わった。会長だったり副会長だったり、風紀の委員長だったり副委員長だったり。やっぱり会長は三年のまとめもしてるから、忙しそうだった。会長もだけど、副会長も球技大会に参加、してないんじゃないかな。
「元々役員は参加自由なんだよ。だから今回は参加しなかっただけ」
疑問になって、副会長に聞いたら、そういう回答が来た。
でも、高校生最後の行事なのにな。とは思ったけど、俺がどうこう言える立場でもないし、本人たちがそう決めたことを、何も言えない。
まだ体育祭とか、文化祭とか有るし。そっちは参加出来る可能性が有るから、今回は無しにしたってのも考えれるし。
今回『は』って言ってたしね。
で、俺のサッカーは一回戦で敗退した。霊能者集団のサッカー恐い。
二年生だったし、力の制御が出来てるからなんだろうけど。力を使うことは反則にはならない。この学校内だから。
俺のチームも、司令塔役がガンガン指示飛ばしてたけど。結局力を制御出来てない連中が集まったからか、勝つことは出来なかった。
俺は出たけど、ボールに触ってない。触ることも出来ずに終わった。残念だ。ただ走り回ってはいたから、汗だけはすごかった。
この分だと、一年生残らないんじゃないかとか思ったりしたけど。まぁ、そのとおりで。
タイムテーブルに書き込んで行った対戦表を見る。
午前中だけで、一年生は敗退して行ってた。午後は上級生ばっかだ。
暇になった一年生、どうするんだろうか。昼を食べてから、本部に行った方が良さそうだ。俺はどう動けば良いのか、わからない。
指示をもらうしか出来ないんだから、仕方ないよね。勝手に動くより、その方が会長たちも不便にならなくて良いと思う。
「圭吾」
声がかかって、食堂へ歩いていた足を止める。
「恭か。お疲れさん」
声をかけてきた恭に、ねぎらいをかける。
恭も昼から暇になった訳だが、霊能力者クラスのサッカーは、先輩相手に二回戦までは行っていた。
「俺は試合に出てもいないから、疲れてない。疲れてるのは、圭吾の方だろ?忍先輩の手伝いしてるって、良二に聞いた」
共に食堂へと歩きながら、恭が言うことに俺は苦笑した。
「そんな大変なことはしてないよ。ただ報告を本部に持ってくだけ。桐生会長ずっと忙しそうにしてたな」
一年を主に見てたし、報告もそうだったから、上級生は知らない。
それでも一年は大きな問題は起こってなかったから、良かったと思ってる。
「ふーん」
恭はそれほど興味が有った訳ではなかったようだ。
「一年生、皆午前で敗退したから、暇人ばっかになるだろうな」
「この学校ならではの力使っての球技大会とか、一年は残らないだろ」
力の制御が出来るか出来ないかで、制限がかかった理由がよくわかったわけだが。
これは体育祭も似たような感じになりそうだと思う。
「けが人はあんまり出てなかったみたいだけどさ。保健委員が必ずいるって意味がよくわかった」
保健医も一緒に、誰かしらが必ず救護の為の場に居た。
「役員の誰かが問題行動起こすかも、って忍先輩は気にしてたみたいだったけど。そこまで馬鹿なことする人たちじゃなかったみたいだな」
リコール間近の役員が、何かを起こしたという話しは今の所無い。無いままで終わって欲しいというのは、恭だけでなく俺も思ってる。
役員ってことは、力がそれだけ強いという証明でも有る。無駄な力の使い方をするのは、本当に止めて欲しいと思うのだ。
頷きながら、食堂の空いている席に座る。
※
結局午後も何も起こらず、無事に閉会式した。
午後に暇になった一年生は、先輩たちの力の使い方を学ぶ為にか、ほぼ全員が競技を観戦してたので、有意義だったかもしれない。
俺は本部と競技場の行ったり来たりをしてたけど。
桐生会長は、一年は残ってないから、問題ないか見ててくれるだけで良いって言ってたけど。
「藤は結構まとめ役に向いてるみたいだから、二年生やってよ。で、僕は三年やるから、桐生は本部いて」
そう副会長が言ったので、俺は二年の風紀委員と一緒に動いてたようなもんだった。
八木崎副会長は、桐生会長の役目を少しでも軽くしたかったんだと思う。だから、俺が出来るならやりますって答えた。
桐生会長はちょっと複雑そうだったけど。でもやれる人間がいるなら、使ったら良いと俺は思うんだ。
まぁ、俺の力なんてたかが知れてるけど。まだ制御も出来てない一年だし。
何も無かったことは良いことなんだよな。うん。桐生会長も、そんな疲れてなかったし。
しかし本当に役員、何にもしなかった。俺会長と副会長しか知らない。どうゆうことだろう。
騒ぎ起こさなかったのは、良いことだけど。役員としての仕事もしないってことか。
だからリコールとか言われてるんだろうけど。元々仕事してないってことか。
あー、なんか恭がそんなようなこと言ってたか。俺には関係ないし、何もできないから、ってスルーしてたかも。
「お疲れさん、圭吾」
本部で片付けを手伝ってたら、隣の救護の方から良二が来た。
「あぁ、良二もお疲れ。あ、ペンありがと」
借りてたペンを良二に返しながら、ねぎらいを返す。
「圭吾はさ、俺らが名前出したから、唐突な仕事せなかんくなったやん。ちょっと申し訳なかったなぁとか、思っててんけど」
俺らは最初から仕事有るってわかっててんけどな。と良二は言う。
まぁたしかに。桐生会長に言われなきゃ、俺はただの参加者だったわけで。そもそも桐生会長だって、良二たちが俺の名前出したから打診しに来た訳だし。
「気にするなよ。結局一回戦で終わったから、暇だったんだ。その分こういう仕事有った方が、俺的には良かったし」
笑いながら良二に言う。
そうなんだよ。一回戦で終わったから、暇になるのも早くて。参加だけだったら、どうしよっかなぁってなってたと思う。
まぁ、他のとこの観戦してただろうけど。それだけじゃやっぱ暇だ。
だから本部と行ったり来たりってのは、俺にとっては有意義に球技大会を使えたって思ってる。
「ほんなら良かったけどな。救護の方片付けもう終わってん。こっち何か手伝う?」
委員総出で片付けてる救護や風紀の方は、やっぱり早く終わるんだろう。
俺は本部の手伝いしてたけど、会長と副会長しかいなくて。報告書類なんかをまとめたりは終わりに近付いてるけど。教室から出してた机はまだ片付いてない。
「書類乗ってない机と、使ってない椅子の片付け手伝ってくれる?桐生は書類生徒会室持ってったら、そっち片付けしてて。ここは保健委員の子が手伝ってくれるみたいだから、すぐ終わるよ。終わったら僕も生徒会室行くから」
俺たちの会話を聞いてたらしい八木崎副会長から、指示が飛んできた。
多分桐生会長にこれ以上の負担が無いようにの采配なんだろうけど。八木崎副会長だって、かなり動いてるのに。
「いや、八木崎も生徒会室戻れ。風紀も手伝うから、本当にすぐに終わるだろ」
副会長の言葉に、風紀委員長がこっちに来た。
風紀の委員何人か連れて来てるから、最初から手伝うつもりが有ったのかもしれない。
机を持とうとしていた副会長に、書類を渡しているから、風紀から回す書類も有ったのか。
「お疲れ様でした。会長、副会長」
会長も副会長もまだ仕事が有るのに、この言い方はおかしかったかな、と思いつつ俺はそう言って頭を下げた。
会長に対しても、風紀委員長が行け行け、と仕種をしてるので間違ってないだろう。
桐生会長は書類を持って立ち上がった。
「すまない、助かる。後を頼む。藤も突然頼んだのに、しっかり仕事してくれてありがとう」
そう会長は言って、本部の書類を持って生徒会室に向かって行った。
副会長も後が気になってはいたみたいだけど、風紀委員長に書類渡されてしまっていたから、そのまま会長の後に続いて行った。
「他の役員もあいつらくらいとは言わないが、多少は責任感の有る奴だったら良かったんだがな」
風紀委員長の言葉には、切実な何かが込められているような気がした。
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