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夏休みがやってきた 寮に戻ったら夏休み
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「恭ー、成績表どうだった?」
「俺が何かの教科でミスをするとでも思ってるのか?」
そうだった、こういう奴だった。
「お前には届かなかったが、学年九位取ったんだ。テストの無い教科でも、それほど大きなをミスするわけが無いだろう。で?お前は?能力判定の方が悪かったんじゃないのか?」
寮に戻ったら、すでに恭は部屋の中に居たから、聞いただけなのに。
「体育とかで、可とかギリギリのとこ取ってたら良かったのに」
ボソリと呟いてみる。
「お前より運動は出来ると知っているだろうが。どうやっても俺は成績は悪くない。ちなみに能力判定もA判定だったからな」
忘れてた。恭俺より走るの早いし、俺より運動出来るんだった。
くそっ、恭に勝てるものが何も無かった。
「どうせ俺は能力D判定だよ。恭には何一つ勝てないよ」
頑張った結果のD判定は辛い。でもめげない。めげてても、良いこと無いし。頑張れば上に上がれるんだよ。そうだよ。最低ラインから出発で良いよ。
「まぁ、でも。テストは勝てなかったし。だいたい勝ち負けの勝負はしてなかっただろう」
「あー、まぁ。勝負とかはしてなかったけど。なんかこういうのって、競いたくならない?」
恭は「別に」とか答えてる。こういう奴がクールだとか言われて、カッコイイとか言われるんだな。俺ガキっぽいか?
「あ!しまった!D判定のショックで、先生に聞かなきゃいけないこと、聞くの忘れて来た……」
脇に置いといた旅行鞄。実家に帰るんだから、それほど大きな荷物にはしてないけれど。
制服がもはや普段着状態だった中学時代だったから、本当に普段着を少ししか持っていなかった。だから寮にほとんど持って来てしまってたんだよな。その分実家に帰っても、服は無いわけで。結局旅行鞄は大きい物を出すしかなかった。
最近じゃあ、休みに街に繰り出したりしてるから、普段着も増えたけど。成長期なのか、古いのは着れなくなったりしてるし。
まぁ、洗濯は母親がしてくれるだろうから、二日分有れば良いんだけど。
最後の日の分は持ち帰って洗濯になるけどな。
で、あれだ。台風で船が止まった時の対応、聞こうと思ってたのに、忘れて帰って来てしまったわけだ。
「は?アホか。何聞く予定だったんだ?」
恭の反応は冷たいです。
今に始まったことじゃないから、俺は慣れたけど。慣れって恐ろしい。
「俺の家離島だからさ。台風来たら船止まるんだよね。そんで、外泊届どおりに戻れない場合が出たら、どうしたら良いのかって。はぁ、学校戻るか」
あぁ、と恭は頷いている。そのまま、携帯を取り出しているけど。
俺には縁のない、携帯電話、羨ましい。
「ちょっと待ってろ。忍先輩が、電話に出れたら聞いてやる。忙しくて電話に出れなかったら、あきらめて学校に戻って担任捕まえて聞けよ」
冷たい反応とか思ってごめん。なんて良い奴なんだ、恭。
変わり身が早い?それこそ今に始まったことではない。多分。
桐生先輩、忙しいかなぁ。夏休み始まったばっかだし、多少の時間有ると良いなぁ。
って、電話繋がった?
俺ここに居ない方が良いかな?
なんか他人の電話聞いてるのって、駄目な気がするんだけど。
まぁ、良いか。恭と桐生先輩の会話、俺の疑問についてだし。良いよな。うん。
ここ出て廊下に居るのも変だし。
つうか、すぐに電話終わった。
「圭吾、連絡しさえすれば良いってさ。ここの寮の連絡先だけは、しっかりメモってけ。寮監が居ない時は、風紀が交代で居るらしいから、繋がるってさ。船出ないってわかったら早めに連絡しないと、他のそういう生徒からの連絡が殺到するだろうから、早めに連絡したら良いって」
おお。なるほど。連絡さえしておけば問題無いのか。それは助かるな。
「サンキュ、恭。助かったー。さて、着替えよ」
ここの寮の番号は、母がしっかりメモしてるから、心配は無いだろう。一カ月に一回くらい、電話かけて来てるし。俺の母親って過保護?
まぁ良いや。学校に戻らなくて済んだので、着替えて無かった俺は、着替えることにする。
だって制服って、カチッとしてる感がさ。これからのんびりしたいのに、のんびり出来る服装じゃ無いよね。
夏服は普通に洗濯の出来る物だ。
だから、一週間に一回は確実に洗ってた。しかし、これから夏休みなので、しばらくは着ない。
「洗濯してくるけど、恭のも一緒にする?」
夏は汗かくから。本当は毎日でもズボンは洗いたい。けど、乾かなかったことを考えて、一週間に一回だったのだ。
さすがにシャツは換えも有るから、毎日洗濯してたけどな。
「あー、頼む。っと、俺昨日の部屋着もまだ洗ってねぇな。俺が行くか?」
「いや、同じ同じ。俺もまだだから」
洗濯場所は、コインランドリーみたいな作りになってる。
たくさんの洗濯機が並んでいるので、皆それぞれに持って来て洗うのだ。
俺と恭はだいたいどっちかが一緒に洗濯をしに行く。だって別々にしてたら、面倒だろ?
どうせ洗うんだし。洗濯機でかいのが置いて有るし。
だったら一緒に洗えば良くね?とか思った俺から持ち出した案だ。
当番とか特に決めて無くて。どっちかがさて洗濯するか、と思った時に声をかける。
そんな感じ。
部屋の掃除とかも、そういえばそんな感じだなぁ。
恭は結構綺麗好きだから、洗濯は俺で、掃除は恭。みたくなってる。
「じゃあ頼む。行ってる間に掃除しとくか」
ほら、こんな感じだ。
「よろしくー。俺これ洗濯機かけたら、すぐ戻るけど。そしたら手伝うわ」
籠に二人分の洗濯物を入れて、俺は部屋をそのまま後にした。
こういう時、他人と一緒の洗濯が嫌だとか言う相手で無くて良かったな、と思う。
居るよね。他人と一緒の洗濯が嫌って奴。
親のとも一緒が嫌だとか、女子が言ってたなぁ。親って言っても父親か。
面倒が無くて楽ちんだ。
洗う時間がどんだけかかるか知っとけば、洗濯機はそのまま放置で良い。
だから、籠の中身を放り込んで、洗剤入れて、ボタンを押したら、部屋に戻る。
後は終わったくらいに取りに行って、部屋干し。いや、天気良かったら、ベランダに干すけど。悪かったら、風呂に入った後に、浴室乾燥機使ったりもする。
風呂場はそれぞれの部屋に付いてるんだよなぁ。一人でのんびり入れるから、良いけど。どうせなら洗濯機も置いてくれたら良いのに。まぁ、コストかかるか。
「圭吾、布団どうする?明日から居ないなら、天気良い時に干しとくけど?あー、シーツも洗っとくし」
部屋に戻ったら、主婦が居ました。
違うか。主夫か。って、それも違う。
「まじか。めっちゃありがたいので、お願いします」
なかなか布団干しってね、出来ないよね。
寮に戻って来たら、ふかふかの布団とか、すっごい嬉しい以外に無い。
「じゃあ、俺は土産期待しとく」
土産ねぇ。
「離島にそんな大したもん無いって。まぁ、そうだなぁ。土産か」
こんな風に考えたことも無かったから、あの島の特産物とか知らない。
というか、特産物なんか、有るのか?
採れたて野菜?釣ったばっかの魚?
どっちもその場でしか食べれないなぁ。
加工食品なら、この山下りた街に言った方が、良い物有りそうだし。
観光に来る様な人も居ないような離島だからな。
その土地ならではの食い物なんて無いし。
「ご当地グルメとか、ご当地グッズとか有る島じゃないからなぁ。なんかいい物探して来るけど、期待はしたら駄目」
期待されても、良い物が無いのはどうしようもないので。
「はは。そんな離島なんだ。なら仕方ないな。布団の件は、夕飯で手を打ってやろう」
おおう。布団がふかふかの変わりに、財布がスカスカ。
洒落にならん。
でもま、良いか。寮の食堂、そんな高いわけでもないしな。
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