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杉野仁11
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「あー.........くっそ痛ぇ」
じんじんと痛みが増すばかりの肩を押さえボスっとソファにしずむ。
『ちゃんと病院行ってねー』
小鳥遊の言葉を思い出し、一瞬迷うがすぐに有り得ないとその選択肢を捨てた。
.........こんな傷だらけの体で病院なんか行けるわけないだろ。
病院なんかに行ったらこの体の事について問いただされて、あと人に連絡がいって終わりだ。
そうしたらいつもよりもっと酷い目に合うことくらい目に見えてる。
想像するだけで全身にぶわっと鳥肌が立ち、吐き気に襲われた。
トイレに急いで駆け込み胃液を吐き出した。
昨日の光景を思い出し、鼓動が早まる。
それに反応するようにじくじく痛む肩に爪を食い込ませた。
ガラス製の灰皿で何度もオレの肩を殴りつける男の歪んだ笑顔が頭から離れない。
肩が壊れるんじゃないかってくらい何度も何度も、何度も。
それが刃物じゃなかったぶん、いくらかはマシなんだろうけど。
胸に刻まれた無数の切り傷を撫でながら、何故か杉野の顔を思い出した。
あいつ...オレの肌を見ても驚いてなかったな。
最初から知ってたのか?
いや、この事は誰にも話したことはないし、もちろん見せた事もない.........。
じゃあ、どうやって気づいたんだよ。てゆーかいつから?
人を見下したような視線を思い出し、少しイラっとした。いや、かなりイラっとした。
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